胃全摘術後患者に発症し,気管支鏡後に増悪したリポイド肺炎の1例

背景.リポイド肺炎は肺病変の中に脂質の蓄積を認めるもので,内因性の原因には腫瘍による気道閉塞,脂肪塞栓症,胃食道逆流症などが知られている.症例.胃全摘術後の75歳男性.前医のCTで右下葉すりガラス影を指摘され,当院紹介となった.呼吸器症状はなかったが陰影が残存するため,気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液は黄色であり,脂肪貪食マクロファージを多数認めたことからリポイド肺炎と診断した.気管支鏡検査の20日後から発熱,呼吸困難が出現し,CTで陰影の増強を認めたため,副腎皮質ステロイド薬や抗菌薬で治療したところ,陰影は消退した.食道逆流症の予防に努めたところ,ステロイド中止後も再燃を認めなかった...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 41; no. 2; pp. 198 - 203
Main Authors 森, 智紀, 川﨑, 広平, 奥崎, 健, 伊藤, 徳明, 妹尾, 美里, 尾下, 豪人, 山本, 祐太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2019
日本呼吸器内視鏡学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.41.2_198

Cover

More Information
Summary:背景.リポイド肺炎は肺病変の中に脂質の蓄積を認めるもので,内因性の原因には腫瘍による気道閉塞,脂肪塞栓症,胃食道逆流症などが知られている.症例.胃全摘術後の75歳男性.前医のCTで右下葉すりガラス影を指摘され,当院紹介となった.呼吸器症状はなかったが陰影が残存するため,気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液は黄色であり,脂肪貪食マクロファージを多数認めたことからリポイド肺炎と診断した.気管支鏡検査の20日後から発熱,呼吸困難が出現し,CTで陰影の増強を認めたため,副腎皮質ステロイド薬や抗菌薬で治療したところ,陰影は消退した.食道逆流症の予防に努めたところ,ステロイド中止後も再燃を認めなかった.考察.胃全摘術後であることから,リポイド肺炎の発症原因として食道逆流に伴う不顕性誤嚥が疑われた.気管支鏡検査が誤嚥を助長し,増悪を招いた可能性がある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.2_198