喀血を初発症状とした成人先天性気管支閉鎖症の1例

背景.先天性気管支閉鎖症は,胎生期の血管異常が原因と考えられている比較的稀な疾患である.中でも喀血を初発症状とし,気管支動脈と肺静脈のシャントを形成した例は報告がない.症例.生来健康な41歳男性.突然の喀血のため撮影された胸部CTで,左S3領域に周囲に異常血管とair trapping像を伴う腫瘤様陰影を認めた.気管支動脈造影で肺静脈とのシャントが認められた.気管支鏡では左B3入口部を認識し得ず,先天性気管支閉鎖症と診断した.抗菌薬,止血剤投与で治療後,閉鎖気管支内の液性成分は排出され,再喀血なく経過した.治療後の造影CTでは,異常血管・シャント形成は描出されなかった.結論.気管支閉鎖症で異常...

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Published in気管支学 Vol. 42; no. 2; pp. 134 - 139
Main Authors 川名, 明彦, 青木, 亮太, 太田, 真一郎, 叶, 宗一郎, 末松, 良平, 淡島, 舞子, 濱川, 侑介, 田上, 陽一, 児玉, 達哉, 藤倉, 雄二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2020
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.42.2_134

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Summary:背景.先天性気管支閉鎖症は,胎生期の血管異常が原因と考えられている比較的稀な疾患である.中でも喀血を初発症状とし,気管支動脈と肺静脈のシャントを形成した例は報告がない.症例.生来健康な41歳男性.突然の喀血のため撮影された胸部CTで,左S3領域に周囲に異常血管とair trapping像を伴う腫瘤様陰影を認めた.気管支動脈造影で肺静脈とのシャントが認められた.気管支鏡では左B3入口部を認識し得ず,先天性気管支閉鎖症と診断した.抗菌薬,止血剤投与で治療後,閉鎖気管支内の液性成分は排出され,再喀血なく経過した.治療後の造影CTでは,異常血管・シャント形成は描出されなかった.結論.気管支閉鎖症で異常血管増生と気管支動脈-肺静脈シャントを認め,画像上その消退をみた本症例は,病態形成における異常血管や側副換気路の役割について示唆に富むものであった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.42.2_134