国際的観点からみた課題

IPMN国際診療ガイドラインは,2006年に初版が出版され,2012年に改訂された.日本膵臓学会が行った全国多施設研究の解析結果から,IPMNと膵癌の関係などが明らかにされ,これらの知見を踏まえて,分枝型IPMNの手術適応や経過観察の方法についても見直しが行われた.しかし,諸外国では,医療体制の相違から,緻密な経過観察が困難な国も多く,2012年版診療ガイドラインに準拠した診療が可能かどうかは疑問が残る.高いレベルのエビデンスを構築することにより,国際的コンセンサスを得られる診療指針を示す必要がある.また,生体試料を用いたゲノム・エピゲノム・プロテオーム解析が国際的に注目されており,今後の研究...

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Published in膵臓 Vol. 28; no. 2; pp. 173 - 177
Main Author 高折, 恭一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2013
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.28.173

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Summary:IPMN国際診療ガイドラインは,2006年に初版が出版され,2012年に改訂された.日本膵臓学会が行った全国多施設研究の解析結果から,IPMNと膵癌の関係などが明らかにされ,これらの知見を踏まえて,分枝型IPMNの手術適応や経過観察の方法についても見直しが行われた.しかし,諸外国では,医療体制の相違から,緻密な経過観察が困難な国も多く,2012年版診療ガイドラインに準拠した診療が可能かどうかは疑問が残る.高いレベルのエビデンスを構築することにより,国際的コンセンサスを得られる診療指針を示す必要がある.また,生体試料を用いたゲノム・エピゲノム・プロテオーム解析が国際的に注目されており,今後の研究の発展が期待される.さらに,安全な低侵襲手術の普及により,IPMNの外科治療をより受け入れられ易いものとすることも重要と考えられる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.28.173