鼠径部腫瘤を契機に発見された原発性腸腰筋膿瘍の乳児例

乳児の原発性腸腰筋膿瘍の1 例を経験したので報告する.症例は3 か月の男児.発赤を伴う右鼠径部腫瘤を主訴に近医より紹介受診となった.来院時の血液生化学検査にて炎症反応の上昇を認め,腹部骨盤CT にて右腸腰筋膿瘍の診断となった.入院後より抗生物質投与による保存的治療を開始したが,治療に抵抗性を示したため,小切開による膿瘍ドレナージ術を施行し,術後15 日目に退院となった.採取した膿からはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された.入院時の血液培養検査は陰性であり,入院翌日の骨盤MRI 検査でも化膿性脊椎炎,化膿性股関節炎,化膿性仙腸関節炎などを示唆する所見を認めず,明らかな感染経路を特定すること...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 51; no. 4; pp. 839 - 844
Main Authors 後藤, 博志, 星野, 真由美, 平野, 隆幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2015
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.51.4_839

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Summary:乳児の原発性腸腰筋膿瘍の1 例を経験したので報告する.症例は3 か月の男児.発赤を伴う右鼠径部腫瘤を主訴に近医より紹介受診となった.来院時の血液生化学検査にて炎症反応の上昇を認め,腹部骨盤CT にて右腸腰筋膿瘍の診断となった.入院後より抗生物質投与による保存的治療を開始したが,治療に抵抗性を示したため,小切開による膿瘍ドレナージ術を施行し,術後15 日目に退院となった.採取した膿からはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された.入院時の血液培養検査は陰性であり,入院翌日の骨盤MRI 検査でも化膿性脊椎炎,化膿性股関節炎,化膿性仙腸関節炎などを示唆する所見を認めず,明らかな感染経路を特定することができなかった.炎症徴候を伴う乳児の鼠径部腫瘤の診療に際しては,腸腰筋膿瘍の可能性も念頭に置き,積極的にCT やMRI などの画像検査を行う必要があると思われた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.51.4_839