上矢状静脈洞壁硬膜動静脈瘻の根治後にS状静脈洞および上錐体静脈洞にIsolated Sinusとして再発した一例

「緒言」硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula; dural AVF)は, 海綿静脈洞, 横静脈洞, S状静脈洞部に好発し, そのほとんどは単発性であり時間的, 空間的に多発することは稀であり過去の報告も非常に少ない. 多発例はその存在部位も多岐にわたっていて, 単発例に比べ皮質静脈逆流(cortical reflux)を伴う場合が多く出血の危険度が高いとされている1). 我々は上矢状静脈洞壁硬膜動静脈瘻を根治後, 1年半後にS状静脈洞および上錐体静脈洞に再発した一例を経験したので, 文献的考察も加え報告する. 「症例呈示」「患者」: 63歳, 女性「主訴」: 意...

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Published in日本神経救急学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 104 - 109
Main Authors 関, 厚二朗, 布施, 明, 橋詰, 哲広, 渡邊, 顕弘, 五十嵐, 豊, 和田, 剛志, 恩田, 秀賢, 鈴木, 剛, 横田, 裕行, 松本, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経救急学会 30.03.2012
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ISSN1619-3067
2187-5006
DOI10.11170/jjcne.24.3_104

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Summary:「緒言」硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula; dural AVF)は, 海綿静脈洞, 横静脈洞, S状静脈洞部に好発し, そのほとんどは単発性であり時間的, 空間的に多発することは稀であり過去の報告も非常に少ない. 多発例はその存在部位も多岐にわたっていて, 単発例に比べ皮質静脈逆流(cortical reflux)を伴う場合が多く出血の危険度が高いとされている1). 我々は上矢状静脈洞壁硬膜動静脈瘻を根治後, 1年半後にS状静脈洞および上錐体静脈洞に再発した一例を経験したので, 文献的考察も加え報告する. 「症例呈示」「患者」: 63歳, 女性「主訴」: 意識障害「既往歴」: 高血圧, 脳出血「現病歴」: 自宅で倒れている所を家族に発見され, 意識障害で当センターに搬送された. 来院時Glasgow Coma Scale(GCS)E3V1M6. 過去の脳出血で運動性失語を有し, 右麻痺(manual muscle test: MMT 3/5)の杖歩行であった. 「画像所見」: 左前頭~頭頂葉皮質下に脳浮腫を生じた脳室穿破を伴う脳出血(血腫量約20ml)を認めた(Fig.1-A, B).
ISSN:1619-3067
2187-5006
DOI:10.11170/jjcne.24.3_104