膵管内乳頭粘液性腫瘍に並存した退形成性膵管癌術後7年目に残膵内発症を認め切除し得た膵腺扁平上皮癌の1例

症例は79歳,男性.2005年12月膵体部の退形成性膵管癌(多形細胞型)に対し膵体尾部切徐術施行.術後病理検査で膵尾部に膵管内乳頭粘液性腫瘍が併存していた.術後ゲムシタビンとTegafur-uracilによる補助化学療法を施行し6年6か月無再発で外来通院中であった.2012年5月CA19-9,SPAN-1が上昇,腹部CT検査にて残膵頭部に20mm大,辺縁に造影効果を認める腫瘤性病変を認めた.FDG PET-CT検査ではSUVmax 4.6の集積を認め,残膵頭部癌と診断し残膵全摘術を施行した.術後病理検査では腺扁平上皮癌と診断され,術後7年目に発症した異時性膵癌と診断した.退形成性膵管癌術後の残...

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Published in膵臓 Vol. 28; no. 4; pp. 571 - 580
Main Authors 高井, 昭洋, 高田, 泰次, 藤山, 泰二, 竹林, 孝晃, 米永, 吉邦, 田村, 圭, 曽我, 美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2013
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.28.571

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Summary:症例は79歳,男性.2005年12月膵体部の退形成性膵管癌(多形細胞型)に対し膵体尾部切徐術施行.術後病理検査で膵尾部に膵管内乳頭粘液性腫瘍が併存していた.術後ゲムシタビンとTegafur-uracilによる補助化学療法を施行し6年6か月無再発で外来通院中であった.2012年5月CA19-9,SPAN-1が上昇,腹部CT検査にて残膵頭部に20mm大,辺縁に造影効果を認める腫瘤性病変を認めた.FDG PET-CT検査ではSUVmax 4.6の集積を認め,残膵頭部癌と診断し残膵全摘術を施行した.術後病理検査では腺扁平上皮癌と診断され,術後7年目に発症した異時性膵癌と診断した.退形成性膵管癌術後の残膵内に腺扁平上皮癌が異時性に発症したという報告はこれまでにない.また初回の退形成性膵管癌はIPMNに並存しており膵癌発生を考える上で非常に貴重な症例と考えられたので報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.28.571