腹腔鏡下肝拡大左葉切除術中に医療ガーゼが肺動脈内へ迷入した1例

70歳の男性.肝細胞癌に対して,全身麻酔および硬膜外麻酔下に腹腔鏡下肝拡大左葉切除術が施行された.術中,中肝静脈を損傷し圧迫止血操作を行った際に,一時的に収縮期血圧が60mmHgまで低下したが,血管縫合により血行動態は安定し手術を完遂した.手術終了前の体内異物遺残チェックでガーゼの枚数が不足したため胸腹部単純X線撮影を行い,左肺門部にガーゼと思われる線状陰影を認めた.この時点では肺塞栓を疑う症状は認めておらず,カテーテルによる肺動脈内異物除去を行う方針とした.迷入したガーゼは左肺動脈に達していたものの,重篤な転帰に至ることなく,血管内治療と鼠径部小切開手術で摘出し得た....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 37; no. 4; pp. 423 - 426
Main Authors 生津, 綾乃, 大目, 祐介, 山下, 茂樹, 大竹, 孝尚, 冨田, 晶子, 橋田, 和樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.07.2017
Subjects
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.37.423

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Summary:70歳の男性.肝細胞癌に対して,全身麻酔および硬膜外麻酔下に腹腔鏡下肝拡大左葉切除術が施行された.術中,中肝静脈を損傷し圧迫止血操作を行った際に,一時的に収縮期血圧が60mmHgまで低下したが,血管縫合により血行動態は安定し手術を完遂した.手術終了前の体内異物遺残チェックでガーゼの枚数が不足したため胸腹部単純X線撮影を行い,左肺門部にガーゼと思われる線状陰影を認めた.この時点では肺塞栓を疑う症状は認めておらず,カテーテルによる肺動脈内異物除去を行う方針とした.迷入したガーゼは左肺動脈に達していたものの,重篤な転帰に至ることなく,血管内治療と鼠径部小切開手術で摘出し得た.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.37.423