慢性腎不全患者におけるくも膜下出血

『はじめに』 慢性腎不全(CRF)は動脈硬化, 脳卒中の危険因子であり, 透析患者では脳出血, くも膜下出血(SAH)の相対発症危険度が増すとの報告がある2)6)8). 透析患者における出血性脳血管障害は, 尿毒症や抗凝固薬の影響で出血量が多くなり, 結果予後不良となることが予想される. したがって, CRF患者に合併するSAHは通常のSAHとは異なる性質を持ちうる. しかしながら, CRF患者におけるSAHの特徴について, 著者らが渉猟しえた限りでは報告はない. 今回われわれは, 当施設におけるCRF, 特に透析患者に発症したSAHについて, その特徴を後ろ向きに検討したので報告する. 『方...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 38; no. 5; pp. 329 - 332
Main Authors 鳴海, 治, 沈, 正樹, 河村, 陽一郎, 吉田, 和道, 定政, 信猛, 山形, 専
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2010
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.38.329

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Summary:『はじめに』 慢性腎不全(CRF)は動脈硬化, 脳卒中の危険因子であり, 透析患者では脳出血, くも膜下出血(SAH)の相対発症危険度が増すとの報告がある2)6)8). 透析患者における出血性脳血管障害は, 尿毒症や抗凝固薬の影響で出血量が多くなり, 結果予後不良となることが予想される. したがって, CRF患者に合併するSAHは通常のSAHとは異なる性質を持ちうる. しかしながら, CRF患者におけるSAHの特徴について, 著者らが渉猟しえた限りでは報告はない. 今回われわれは, 当施設におけるCRF, 特に透析患者に発症したSAHについて, その特徴を後ろ向きに検討したので報告する. 『方法』 2005年1月から2009年1月までに当施設で頭部CT上SAHと診断され, 明らかな外傷性のものを除いた302例を対象とした. 出血源評価として, まずCT angiography(CTA)を行い, 出血源が明らかでない場合に脳血管撮影(DSA)を追加した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.38.329