気管支転移を生じたTTF-1陽性大腸癌の1例

背景.大腸癌が気管支内を主体とする転移形式を示し,かつthyroid transcription factor 1(TTF-1)陽性であることは比較的稀である.症例.72歳男性.1年前より血痰を自覚しており,検診胸部異常影を契機に当院受診.CT上,左上葉中枢側に4 cm大の腫瘤を認めた.気管支鏡検査では,左上区気管支内から出血がみられたため,洗浄細胞診のみ施行し,腺癌と診断された.全身検索の結果,S状結腸癌も判明したが,画像所見等より同時性重複癌と判断.肺切除を先行する方針とし,左上葉切除術を施行した.腫瘍は気管支内を充填するように存在し,組織像は大腸癌に類似していた.免疫組織化学検査では,T...

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Published in気管支学 Vol. 42; no. 4; pp. 331 - 336
Main Authors 若松, 郁磨, 岸川, 孝之, 笠井, 尚, 松隈, 治久, 中村, 洋一, 星, 暢夫, 中原, 理恵, 杉山, 智英, 神山, 由香理, 若松, 早穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.07.2020
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.42.4_331

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Summary:背景.大腸癌が気管支内を主体とする転移形式を示し,かつthyroid transcription factor 1(TTF-1)陽性であることは比較的稀である.症例.72歳男性.1年前より血痰を自覚しており,検診胸部異常影を契機に当院受診.CT上,左上葉中枢側に4 cm大の腫瘤を認めた.気管支鏡検査では,左上区気管支内から出血がみられたため,洗浄細胞診のみ施行し,腺癌と診断された.全身検索の結果,S状結腸癌も判明したが,画像所見等より同時性重複癌と判断.肺切除を先行する方針とし,左上葉切除術を施行した.腫瘍は気管支内を充填するように存在し,組織像は大腸癌に類似していた.免疫組織化学検査では,TTF-1陽性以外は大腸癌肺転移に矛盾しない結果であった.大腸生検標本での免疫組織化学検査を追加したところ,同一パターンを示し,大腸癌肺転移との最終診断に至った.結論.TTF-1陽性大腸癌が気管支転移を示した,稀な症例を経験したため報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.42.4_331