関節周囲多剤カクテル注射に含まれたモルヒネの関与が強く疑われた人工膝関節置換術の術後呼吸抑制の1例

68歳の女性に対して人工膝関節再置換術が行われ,執刀医によりモルヒネ5mgを含むカクテルが関節周囲へ投与された.さらに,フェンタニル持続投与(12.5μg/h)を開始した.病棟帰室90分後,徐呼吸となりフェンタニル投与を中止したが,その後も呼吸抑制が持続し,翌朝までナロキソンの持続投与および非侵襲的陽圧換気を施行した.本症例におけるフェンタニル効果部位濃度シミュレーションでは呼吸抑制を生じる濃度に達しておらず,カクテルに含まれるモルヒネの関与が考えられた.カクテル注射に含まれるオピオイドは予期せぬ呼吸抑制を引き起こす可能性があり,術後の適切なモニタリングおよび観察が重要である....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 36; no. 7; pp. 646 - 649
Main Authors 池上, 之浩, 吉田, 圭佑, 小原, 伸樹, 箱崎, 貴大, 今泉, 剛, 村川, 雅洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.11.2016
Subjects
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.36.646

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Summary:68歳の女性に対して人工膝関節再置換術が行われ,執刀医によりモルヒネ5mgを含むカクテルが関節周囲へ投与された.さらに,フェンタニル持続投与(12.5μg/h)を開始した.病棟帰室90分後,徐呼吸となりフェンタニル投与を中止したが,その後も呼吸抑制が持続し,翌朝までナロキソンの持続投与および非侵襲的陽圧換気を施行した.本症例におけるフェンタニル効果部位濃度シミュレーションでは呼吸抑制を生じる濃度に達しておらず,カクテルに含まれるモルヒネの関与が考えられた.カクテル注射に含まれるオピオイドは予期せぬ呼吸抑制を引き起こす可能性があり,術後の適切なモニタリングおよび観察が重要である.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.36.646