冠攣縮性狭心症の診断におけるループメモリー式イベントレコーダーの使用経験

冠攣縮性狭心症(CSA)の発作は一過性であり,非発作時の心電図はそのほとんどが正常であるため,通常,自然に発生した発作をとらえることは困難な場合が多い.しかし,発作時の心電図が記録できるイベントレコーダーを用いることにより,CSAの発作をとらえることが可能になると考えられる.そこで,イベントレコーダーがCSAの診断に有用であるか否かを検討した.対象は,ループメモリー式イベントレコーダー(CG-6106)を使用したことによりCSAと診断,あるいは治療が開始された患者38例(男性18例,女性20例),平均年齢58.5±11.7歳(35~80歳)である.虚血性心電図変化が認められたのは157イベント...

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Published in心電図 Vol. 30; no. 4; pp. 289 - 297
Main Authors 野池, 博文, 東丸, 貴信, 鈴木, 淳, 清水, 一寛, 黒須, 巧, 小川, 剛史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2010
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.30.289

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Summary:冠攣縮性狭心症(CSA)の発作は一過性であり,非発作時の心電図はそのほとんどが正常であるため,通常,自然に発生した発作をとらえることは困難な場合が多い.しかし,発作時の心電図が記録できるイベントレコーダーを用いることにより,CSAの発作をとらえることが可能になると考えられる.そこで,イベントレコーダーがCSAの診断に有用であるか否かを検討した.対象は,ループメモリー式イベントレコーダー(CG-6106)を使用したことによりCSAと診断,あるいは治療が開始された患者38例(男性18例,女性20例),平均年齢58.5±11.7歳(35~80歳)である.虚血性心電図変化が認められたのは157イベントのうち52.2%であり,所見を認めるまでに平均57.5±55.0時間を要した.所見はST上昇13例,ST低下21例,T波変化11例,陰性U波の新規出現7例であった(重複あり).ループメモリー式イベントレコーダーを用いたことにより,CSAの診断に重要なCSAの発作をとらえることに成功した.すなわち,ループメモリー式イベントレコーダーはCSAの早期診断,早期治療に有用である可能性が示唆された.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.30.289