母体救命搬送を受け入れた症例のうち,産道損傷による分娩後異常出血症例の解析

当センターにおいて,2011年4月より6年間に経験した,分娩後異常出血による母体搬送症例57例を対象とし,後方視的に解析した. 最終診断は,弛緩出血と産道損傷がそれぞれ1/3を占めていた. 硬膜外麻酔鎮痛法は,対象症例全体の約半数,弛緩出血症例の33%,産道損傷症例の約60%,経産婦の産道損傷症例では71%で施行されていた.搬送元で弛緩出血と診断された32症例のうち,11症例が異なる最終診断となった.子宮破裂などの重大な損傷の発見には,造影CT検査が有用であった. 1次, 2次施設においては,対応が困難と判断した症例については躊躇なく高次施設への搬送を決断する事が望まれる. 母体搬送を受け入れ...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 56; no. 1; pp. 31 - 36
Main Authors 大村, 美穂, 安藤, 一道, 渡邊, 理子, 宮内, 彰人, 芥川, 香奈, 津村, 志穂, 大里, 文乃, 有馬, 香織, 笠井, 靖代, 山田, 学, 井出, 早苗, 細川, さつき
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2020
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.56.1_31

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Summary:当センターにおいて,2011年4月より6年間に経験した,分娩後異常出血による母体搬送症例57例を対象とし,後方視的に解析した. 最終診断は,弛緩出血と産道損傷がそれぞれ1/3を占めていた. 硬膜外麻酔鎮痛法は,対象症例全体の約半数,弛緩出血症例の33%,産道損傷症例の約60%,経産婦の産道損傷症例では71%で施行されていた.搬送元で弛緩出血と診断された32症例のうち,11症例が異なる最終診断となった.子宮破裂などの重大な損傷の発見には,造影CT検査が有用であった. 1次, 2次施設においては,対応が困難と判断した症例については躊躇なく高次施設への搬送を決断する事が望まれる. 母体搬送を受け入れる施設では,他科と連携して,全身状態を安定化させ,迅速に分娩後異常出血の正確な原因検索と治療を行うことが母体救命の鍵となる.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.56.1_31