Hemodynamic compromiseを有する症例における頚動脈ステント留置術の治療成績

「はじめに」 頚動脈ステント留置術(CAS)は, 2008年4月より頚動脈内膜剥離術(CEA)のハイリスク症例に対する代替治療として保険収載された. CASの適応は頚部頚動脈の狭窄率を基準としているが, 狭窄率と脳虚血の程度は必ずしも相関せず, 側副血行路の発達状態により, 安静時脳血流および脳循環予備能はさまざまである. したがって血行再建術の必要性および手技のリスクを考えるうえで, 術前の脳循環動態評価は重要であると考えられる. 重度のhemodynamic compromiseに相当するstage IIを示す脳循環動態不良例では, 慢性的な脳虚血により脳血管は拡張状態にあり, 脳循環予備...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 39; no. 5; pp. 316 - 322
Main Authors 遠藤, 英樹, 中村, 博彦, 上山, 憲司, 中川原, 譲二, 荻野, 達也, 瓢子, 敏夫, 片岡, 丈人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2011
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.39.316

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Summary:「はじめに」 頚動脈ステント留置術(CAS)は, 2008年4月より頚動脈内膜剥離術(CEA)のハイリスク症例に対する代替治療として保険収載された. CASの適応は頚部頚動脈の狭窄率を基準としているが, 狭窄率と脳虚血の程度は必ずしも相関せず, 側副血行路の発達状態により, 安静時脳血流および脳循環予備能はさまざまである. したがって血行再建術の必要性および手技のリスクを考えるうえで, 術前の脳循環動態評価は重要であると考えられる. 重度のhemodynamic compromiseに相当するstage IIを示す脳循環動態不良例では, 慢性的な脳虚血により脳血管は拡張状態にあり, 脳循環予備能は喪失し自動調節能が損なわれている. この状態においては, 脳灌流圧に依存して脳血流量が変化する状況にあり, 脳灌流圧のさらなる低下は不可逆的な脳梗塞に進展6)し, 血行再建による脳灌流圧の正常化が, ときに過灌流および脳内出血のリスクとなる3)9).
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.39.316