原発性胆嚢管扁平上皮癌の1例

要旨:症例は75歳の男性で,上腹部痛と腹部膨満感を主訴に来院した.USで胆嚢内の結石と胆泥による充満と胆嚢頸部近傍に3 cm大の内部不均一で境界明瞭な胆嚢内腔と等エコーを呈する腫瘤を認めた.CTで同腫瘤の軽度の不均一な造影効果と近傍のリンパ節腫大を認めた.MRIで腫瘤はT1強調像で軽度低信号,T2強調像で軽度高信号,拡散強調像で高信号を呈していた.以上より胆嚢管癌もしくは胆嚢頸部が主座の胆嚢癌の診断にて2群リンパ節郭清を伴う胆管切除術,十二指腸部分切除術及び肝門部肝管十二指腸吻合術を施行した.切除標本で病変の主座が胆嚢管に存在したため原発性胆嚢管癌と診断し,病理組織診断は扁平上皮癌であった.本...

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Published in胆道 Vol. 27; no. 2; pp. 232 - 239
Main Authors 矢永, 勝彦, 池内, 健二, 宇野, 耕平, 林, 博隆, 友利, 賢太, 二川, 康郎, 川村, 雅彦, 岡本, 友好, 松本, 晶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2013
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.27.232

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Summary:要旨:症例は75歳の男性で,上腹部痛と腹部膨満感を主訴に来院した.USで胆嚢内の結石と胆泥による充満と胆嚢頸部近傍に3 cm大の内部不均一で境界明瞭な胆嚢内腔と等エコーを呈する腫瘤を認めた.CTで同腫瘤の軽度の不均一な造影効果と近傍のリンパ節腫大を認めた.MRIで腫瘤はT1強調像で軽度低信号,T2強調像で軽度高信号,拡散強調像で高信号を呈していた.以上より胆嚢管癌もしくは胆嚢頸部が主座の胆嚢癌の診断にて2群リンパ節郭清を伴う胆管切除術,十二指腸部分切除術及び肝門部肝管十二指腸吻合術を施行した.切除標本で病変の主座が胆嚢管に存在したため原発性胆嚢管癌と診断し,病理組織診断は扁平上皮癌であった.本症例は術後放射線を施行したが術後7カ月で再発死亡した.原発性胆嚢管癌の報告例のほとんどが腺癌であり,扁平上皮癌は極めてまれである.その病因の解明と適切な治療方法に関し今後の更なる症例の集積が望まれる.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.27.232