希釈式自己血輸血の理論と実際

献血者が感染直後のウイルス量が少ないウインドウ期だと,B,C型肝炎ウイルスやエイズウイルスが混入した献血血液が検査をすり抜け輸血され,受血者が感染している実態がある.また輸血により溶血性副作用,アナフィラキシー,TRALI,GVHD等の有害事象も生じうる.このためわれわれは,同種血輸血を避けるべく希釈式自己血輸血(HAT)を推進している.解析の結果,HATに伴う昇圧薬を要する血圧低下は6%であり,非心臓手術患者でのHATによる輸血回避率(退院時)は,出血量2,000g未満で94%,2,000g以上で約40%と,HATは安全で有効であることがわかった.ただし,高齢者や冠動脈疾患患者では慎重な施行...

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Bibliographic Details
Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 37; no. 3; pp. 346 - 353
Main Author 廣田, 和美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.05.2017
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.37.346

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Summary:献血者が感染直後のウイルス量が少ないウインドウ期だと,B,C型肝炎ウイルスやエイズウイルスが混入した献血血液が検査をすり抜け輸血され,受血者が感染している実態がある.また輸血により溶血性副作用,アナフィラキシー,TRALI,GVHD等の有害事象も生じうる.このためわれわれは,同種血輸血を避けるべく希釈式自己血輸血(HAT)を推進している.解析の結果,HATに伴う昇圧薬を要する血圧低下は6%であり,非心臓手術患者でのHATによる輸血回避率(退院時)は,出血量2,000g未満で94%,2,000g以上で約40%と,HATは安全で有効であることがわかった.ただし,高齢者や冠動脈疾患患者では慎重な施行が求められる.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.37.346