遠位胆管原発の顆粒細胞腫の1例

症例は30歳の女性で,黄疸にて前医で精査したところ,遠位胆管癌を疑われたため精査加療目的に当院紹介受診となった.CTでは遠位胆管に造影効果を受ける10mm大の腫瘍性病変を認め,MRCPでは遠位胆管に狭窄像を認めた.狭窄部の生検では過形成または腺腫の結果であり,胆汁細胞診では胆管癌疑いの所見であった.遠位胆管癌の術前診断にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では遠位胆管に全周性の境界明瞭な腫瘍を認め,病理組織学的検査で顆粒細胞腫と診断された.術後経過は良好であり,術後約8年の現在,無再発生存中である.胆道原発の顆粒細胞腫はまれな疾患であり,われわれが検索しえた限りでは,自験例は本邦...

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Published in胆道 Vol. 33; no. 5; pp. 871 - 877
Main Authors 河端, 悠介, 飯田, 健二郎, 岩間, 英明, 中正, 恵二, 波多野, 悦朗, 鈴村, 和大, 末岡, 英明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.12.2019
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.33.871

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Summary:症例は30歳の女性で,黄疸にて前医で精査したところ,遠位胆管癌を疑われたため精査加療目的に当院紹介受診となった.CTでは遠位胆管に造影効果を受ける10mm大の腫瘍性病変を認め,MRCPでは遠位胆管に狭窄像を認めた.狭窄部の生検では過形成または腺腫の結果であり,胆汁細胞診では胆管癌疑いの所見であった.遠位胆管癌の術前診断にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では遠位胆管に全周性の境界明瞭な腫瘍を認め,病理組織学的検査で顆粒細胞腫と診断された.術後経過は良好であり,術後約8年の現在,無再発生存中である.胆道原発の顆粒細胞腫はまれな疾患であり,われわれが検索しえた限りでは,自験例は本邦9例目の報告である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.33.871