縦隔腫瘍摘出術中に冠動脈攣縮による心停止をきたした1症例

虚血性心疾患の既往のない患者の縦隔腫瘍摘出術中に心電図上ST上昇から心室頻拍・心室細動をきたしたが,冠拡張薬等の投与により回復し,後遺症なく経過した.術中・術後の心電図変化および術後の心エコー図(検査)所見より,心停止の原因として手術操作による循環変動に続く冠動脈攣縮を疑った.非心臓手術における冠攣縮の多くは虚血性心疾患の既往がない症例に発症し,その誘因として手術および麻酔のストレスが関与するとされている.冠動脈攣縮の危険因子では喫煙が突出している.本症例は術中の術操作による循環変動に加えて,冠動脈攣縮を起こしやすい患者背景があり,禁煙も不十分であったことが冠動脈攣縮の誘因となったと推察される...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 35; no. 1; pp. 021 - 026
Main Authors 前川, 拓治, 吉富, 修, 趙, 成三, 高松, 渥子, 原, 哲也, 柴田, 伊津子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2015
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.35.021

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Summary:虚血性心疾患の既往のない患者の縦隔腫瘍摘出術中に心電図上ST上昇から心室頻拍・心室細動をきたしたが,冠拡張薬等の投与により回復し,後遺症なく経過した.術中・術後の心電図変化および術後の心エコー図(検査)所見より,心停止の原因として手術操作による循環変動に続く冠動脈攣縮を疑った.非心臓手術における冠攣縮の多くは虚血性心疾患の既往がない症例に発症し,その誘因として手術および麻酔のストレスが関与するとされている.冠動脈攣縮の危険因子では喫煙が突出している.本症例は術中の術操作による循環変動に加えて,冠動脈攣縮を起こしやすい患者背景があり,禁煙も不十分であったことが冠動脈攣縮の誘因となったと推察される.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.35.021