異所性蒙古斑のレーザー治療後色素脱失に関する統計学的検討

真皮メラノサイトーシスに対しては,selective photothermolysisの理論に基づき開発されたQスイッチレーザー照射が有効な治療法である.しかし,いったん合併症を起こしてしまうと対処に苦慮することが少なくない. 今回,平成12年7月より平成18年6月までに神戸大学医学部附属病院形成外科にて,レーザーを照射した異所性蒙古斑42例53部位を対象に,どのような因子が影響して色素脱失を生じているかについて調べ統計学的な解析を加えた.年齢・性別・部位・レーザーの種類・最大照射エネルギー・照射回数と色素脱失との関連について,ロジスティック回帰による多変量解析を行った.色素脱失は24部位(4...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 29; no. 1; pp. 26 - 29
Main Authors 永田, 育子, 寺師, 浩人, 田原, 真也, 熊谷, 俊一, 橋川, 和信, 杉山, 大典, 杉本, 庸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 2008
日本レーザー医学会
Subjects
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm.29.26

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Summary:真皮メラノサイトーシスに対しては,selective photothermolysisの理論に基づき開発されたQスイッチレーザー照射が有効な治療法である.しかし,いったん合併症を起こしてしまうと対処に苦慮することが少なくない. 今回,平成12年7月より平成18年6月までに神戸大学医学部附属病院形成外科にて,レーザーを照射した異所性蒙古斑42例53部位を対象に,どのような因子が影響して色素脱失を生じているかについて調べ統計学的な解析を加えた.年齢・性別・部位・レーザーの種類・最大照射エネルギー・照射回数と色素脱失との関連について,ロジスティック回帰による多変量解析を行った.色素脱失は24部位(45.3%)に認められた.体幹は四肢と比べて色素脱失を起こしやすい(オッズ比16.257[95%信頼区間2.367-111.660],P=0.005)という結果が得られた.年齢・性別・レーザーの種類・照射エネルギー・照射回数は有意な因子とならなかった.今回の検討で得られた結果は極めて興味深いものであり,多方面から検証していく必要がある.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.29.26