気管支鏡下での区域洗浄を要した続発性肺胞蛋白症の1例

背景.肺胞蛋白症は,肺胞腔内にPAS陽性のサーファクタントとリン脂質が異常貯留をする稀な疾患である.今回我々は,免疫抑制薬治療中の患者に発症した続発性肺胞蛋白症に対し,気管支鏡下に区域洗浄を反復し,合併症なく有用であった1例を報告する.症例.54歳男性.高安動脈炎に対する免疫抑制療法中に発症した咳嗽で当院を受診し,その際施行された胸部X線およびCTで両肺に新規のびまん性すりガラス影を認め,急性間質性肺炎疑いのため入院となった.広域抗菌薬や抗真菌薬,副腎皮質ステロイドなどの免疫抑制薬は無効であり,胸腔鏡下肺生検で肺胞蛋白症と診断した.以後,区域洗浄を反復することで,呼吸状態および両肺のすりガラス...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 43; no. 2; pp. 123 - 128
Main Authors 肥田, 憲人, 檜澤, 伸之, 山田, 英恵, 間瀬, 憲多朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2021
日本呼吸器内視鏡学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.2_123

Cover

More Information
Summary:背景.肺胞蛋白症は,肺胞腔内にPAS陽性のサーファクタントとリン脂質が異常貯留をする稀な疾患である.今回我々は,免疫抑制薬治療中の患者に発症した続発性肺胞蛋白症に対し,気管支鏡下に区域洗浄を反復し,合併症なく有用であった1例を報告する.症例.54歳男性.高安動脈炎に対する免疫抑制療法中に発症した咳嗽で当院を受診し,その際施行された胸部X線およびCTで両肺に新規のびまん性すりガラス影を認め,急性間質性肺炎疑いのため入院となった.広域抗菌薬や抗真菌薬,副腎皮質ステロイドなどの免疫抑制薬は無効であり,胸腔鏡下肺生検で肺胞蛋白症と診断した.以後,区域洗浄を反復することで,呼吸状態および両肺のすりガラス影は改善し,再燃なく経過している.結論.肺胞蛋白症は全身麻酔下での全肺洗浄が標準治療として行われる場合が多い.本例のような続発性肺胞蛋白症の免疫抑制宿主に対しても気管支鏡下の区域洗浄を含めた総合的アプローチが有用である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.2_123