遺残左上大静脈経由で行った横-S状静脈洞硬膜動静脈瘻に対する経静脈的塞栓術

「緒言」遺残左上大静脈(persistent left superior vena cava)は0.3~0.5%の頻度でみられ, 胸部で最も頻度が高い静脈奇形である1). 血管内治療で左内頚静脈へアプローチする際には上大静脈から左無名静脈を経由するが, 遺残左上大静脈を有する症例ではこの左無名静脈が存在しないことがある. このような解剖学的特徴を有する硬膜動静脈瘻に対して遺残左上大静脈経由で経静脈的塞栓術を行った症例を報告する. 「症例呈示」症例:79歳, 女性. 主訴:ふらつき 病歴:徐々に増悪する小脳失調によるふらつきを認め, MRIで小脳浮腫を伴う硬膜動静脈瘻と診断され治療目的に入院した...

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Published inJournal of Neuroendovascular Therapy Vol. 5; no. 3; pp. 171 - 172
Main Authors 毛利, 正直, 濱田, 潤一郎, 林, 裕, 見崎, 孝一, 河原, 庸介, 内山, 尚之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会 2012
日本脳神経血管内治療学会
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ISSN1882-4072
2186-2494
DOI10.5797/jnet.5.171

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Summary:「緒言」遺残左上大静脈(persistent left superior vena cava)は0.3~0.5%の頻度でみられ, 胸部で最も頻度が高い静脈奇形である1). 血管内治療で左内頚静脈へアプローチする際には上大静脈から左無名静脈を経由するが, 遺残左上大静脈を有する症例ではこの左無名静脈が存在しないことがある. このような解剖学的特徴を有する硬膜動静脈瘻に対して遺残左上大静脈経由で経静脈的塞栓術を行った症例を報告する. 「症例呈示」症例:79歳, 女性. 主訴:ふらつき 病歴:徐々に増悪する小脳失調によるふらつきを認め, MRIで小脳浮腫を伴う硬膜動静脈瘻と診断され治療目的に入院した. 血管撮影では右中硬膜動脈や後頭動脈から右横-S状静脈洞に流入した血液が右後頭葉と小脳半球の皮質静脈へ逆流していた. 右S状静脈洞の下半分は20年前に部分摘出された髄膜腫で占拠され閉塞していた. 「血管内手術」最初に右内頚静脈からS状静脈洞へ至る経静脈的塞栓術を試みたが, 腫瘍によって閉塞している静脈洞を通過できなかった.
ISSN:1882-4072
2186-2494
DOI:10.5797/jnet.5.171