ラムシルマブ投与患者における蛋白尿発現のリスク因子に関する検討

「緒言」ラムシルマブ(ramucirumab: RAM)は胃がん, 大腸がん, 非小細胞肺がんおよび肝細胞がんに対して適応があり, 血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor: VEGF)受容体2aに対するモノクローナル抗体として幅広く使用されている標準治療薬である. RAM投与にて高頻度に発現する有害事象の1つに蛋白尿があり, 発現機序としてVEGFが結合できなくなることにより, シグナル伝達を阻害するために糸球体構造とろ過機能の破綻が生じ, 尿中に蛋白が漏出するためと考えられている. 血管新生阻害薬投与時に蛋白尿を認めた場合は, 蛋白尿のグレード...

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Published in医療薬学 Vol. 47; no. 5; pp. 250 - 255
Main Authors 新免, 徹, 檀, 和貴, 中本, 秋彦, 田中, 智也, 北村, 佳久, 名和, 秀起, 樋本, 繭子, 室井, 延之, 三木, 育子, 鍛治, 園誠, 髙瀬, 尚武, 池末, 裕明, 千堂, 年昭, 正岡, 康幸, 蔵田, 靖子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.05.2021
日本医療薬学会
Subjects
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.47.250

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Summary:「緒言」ラムシルマブ(ramucirumab: RAM)は胃がん, 大腸がん, 非小細胞肺がんおよび肝細胞がんに対して適応があり, 血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor: VEGF)受容体2aに対するモノクローナル抗体として幅広く使用されている標準治療薬である. RAM投与にて高頻度に発現する有害事象の1つに蛋白尿があり, 発現機序としてVEGFが結合できなくなることにより, シグナル伝達を阻害するために糸球体構造とろ過機能の破綻が生じ, 尿中に蛋白が漏出するためと考えられている. 血管新生阻害薬投与時に蛋白尿を認めた場合は, 蛋白尿のグレードと薬物療法継続のリスク, ベネフィットを加味したうえで休薬および減量することがガイドラインで推奨されている. RAM投与において蛋白尿2+以上の発現時には尿定量検査を行い, 1日の尿蛋白量が2g以上の場合には, RAMの休薬および減量を考慮する必要がある.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.47.250