反復穿刺排液により妊娠継続が可能であった母体巨大水腎症例

腎盂尿管移行部狭窄(ureteropelvic junction obstruction)による巨大水腎症が妊娠中に破綻し,反復穿刺により妊娠・分娩管理を行った症例を経験した.患者は1妊0産で,5年前に人間ドッグで無症候性の右巨大水腎症(19×12×12cm)を指摘され,経過観察を指示されていた.38歳で妊娠し妊娠23週までは順調に経過していた.妊娠23週に突然の右下腹部痛と血尿が出現し,腎盂腎杯内の出血が疑われた.保存的管理により症状は1週間で自然に軽快した.その後,水腎症の進行により右腎臓がさらに増大し腹部膨満感と食欲の低下が出現してきたため,腹部膨満感の軽減と拡張腎杯の再破綻の防止を目的...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 58; no. 2; pp. 316 - 320
Main Authors 鈴木, 義也, 田中, 宏一, 尾﨑, 江都子, 生水, 真紀夫, 井上, 万里子, 尾本, 暁子, 岡山, 潤, 中田, 恵美里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2022
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.58.2_316

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Summary:腎盂尿管移行部狭窄(ureteropelvic junction obstruction)による巨大水腎症が妊娠中に破綻し,反復穿刺により妊娠・分娩管理を行った症例を経験した.患者は1妊0産で,5年前に人間ドッグで無症候性の右巨大水腎症(19×12×12cm)を指摘され,経過観察を指示されていた.38歳で妊娠し妊娠23週までは順調に経過していた.妊娠23週に突然の右下腹部痛と血尿が出現し,腎盂腎杯内の出血が疑われた.保存的管理により症状は1週間で自然に軽快した.その後,水腎症の進行により右腎臓がさらに増大し腹部膨満感と食欲の低下が出現してきたため,腹部膨満感の軽減と拡張腎杯の再破綻の防止を目的に,妊娠31週と34週に右腎臓の穿刺排液を施行した.妊娠38週に3度目の穿刺排液後,分娩誘発を行った.健康な男児を経腟分娩した.穿刺排液は,妊娠中の巨大水腎症の管理の選択肢のひとつとなり得ると思われた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.2_316