妊娠中のリステリア感染の5症例
妊娠中のリステリア感染症は10万人に3人と稀ではあるが,流早産や新生児死亡をきたしうる重篤な疾患である.当院の19年間の分娩数は23,618例で,リステリア感染症は5例あり,発生頻度は0.02%であった(妊婦10万人に20人).COVID-19感染が蔓延した2020年から2022年は毎年発生した.児の転帰は2例が子宮内胎児死亡(妊娠20週,23週),3例が胎児機能不全のため緊急帝王切開による出生(29週,33週,39週)であった.現時点で児の遠隔予後に異常はない.母体は発熱や腹痛などの症状を呈しており,診断は細菌培養検査でリステリアが検出されることで確定した.細菌培養結果判明後からAmpici...
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          | Published in | 日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 59; no. 3; pp. 392 - 396 | 
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| Main Authors | , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
    
        2023
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 1348-964X 2435-4996  | 
| DOI | 10.34456/jjspnm.59.3_392 | 
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| Summary: | 妊娠中のリステリア感染症は10万人に3人と稀ではあるが,流早産や新生児死亡をきたしうる重篤な疾患である.当院の19年間の分娩数は23,618例で,リステリア感染症は5例あり,発生頻度は0.02%であった(妊婦10万人に20人).COVID-19感染が蔓延した2020年から2022年は毎年発生した.児の転帰は2例が子宮内胎児死亡(妊娠20週,23週),3例が胎児機能不全のため緊急帝王切開による出生(29週,33週,39週)であった.現時点で児の遠隔予後に異常はない.母体は発熱や腹痛などの症状を呈しており,診断は細菌培養検査でリステリアが検出されることで確定した.細菌培養結果判明後からAmpicillinを含む抗菌薬で治療を行い,母体は全例で軽快した.原因と推定される食品は,1例は未殺菌乳と考えられたが,その他は特定困難であった.妊娠中の食事に関する注意喚起を行うとともに,発熱や腹痛などの症状があれば早急に受診するよう伝えておくことが重要である. | 
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| ISSN: | 1348-964X 2435-4996  | 
| DOI: | 10.34456/jjspnm.59.3_392 |