虚血性神経細胞死とカルシニューリン/イムノフィリン系の役割と新規脳蘇生法確立への応用

一過性の脳虚血発作は脳内の様々な情報伝達系に影響を及して神経細胞を死に至らしめる。従来, 細胞外の興奮性アミノ酸の一つであるグルタミン酸の過剰放出に伴う神経細胞内情報伝達系の賦活化および神経細胞内カルシウムイオン [Ca2+] iの増加が引き金となって, アポトーシスおよびネクローシスという細胞死の形態を示すという興奮性毒性説が唱えられてきた。最近, 脳神経細胞死の制御は脱リン酸化酵素の一つであるカルシニューリンの変動とミトコンドリアの内膜に存在するMPTporeと呼ばれる非特異的な穴の開孔を介するミトコンドリア機能不全が関与する可能性が我々のinvivo脳虚血モデルに対するCsA (Cycl...

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Published in蘇生 Vol. 21; no. 1; pp. 1 - 8
Main Authors 芝崎, 太, 内野, 博之, 一色, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 2002
The Japanese Society of Reanimatology
Subjects
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ISSN0288-4348
1884-748X
DOI10.11414/jjreanimatology1983.21.1

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Summary:一過性の脳虚血発作は脳内の様々な情報伝達系に影響を及して神経細胞を死に至らしめる。従来, 細胞外の興奮性アミノ酸の一つであるグルタミン酸の過剰放出に伴う神経細胞内情報伝達系の賦活化および神経細胞内カルシウムイオン [Ca2+] iの増加が引き金となって, アポトーシスおよびネクローシスという細胞死の形態を示すという興奮性毒性説が唱えられてきた。最近, 脳神経細胞死の制御は脱リン酸化酵素の一つであるカルシニューリンの変動とミトコンドリアの内膜に存在するMPTporeと呼ばれる非特異的な穴の開孔を介するミトコンドリア機能不全が関与する可能性が我々のinvivo脳虚血モデルに対するCsA (Cyclisporin A) の抗虚血作用から示唆され, これまで不明とされてきた脳神経細胞死の制御機構解明に光明を見い出す可能性が出てきた。本稿では虚血性神経細胞死誘発に関与すると思われるカルシニューリンとミトコンドリア機能不全に焦点を当て概説する。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology1983.21.1