血小板製剤輸血後に抗Fybを検出した骨髄異形成症候群の1症例

症例は60代男性.X-3年骨髄異形成症候群と診断.O型RhD陽性,Fy(a+b-),血小板輸血前の不規則抗体スクリーニング陰性.約40年前に溶血性貧血のため複数回の赤血球輸血を受けているが,詳細は不明.病状の悪化からX年Y月より定期的に血小板輸血のみを行っていたが,貧血の進行を認めたため不規則抗体スクリーニングがオーダーされた.このときの不規則抗体スクリーニングで間接抗グロブリン法陽性となり抗Fybが同定された.抗Fybの抗体価は最大で4倍,IgGサブクラスはIgG1であった.のちの調査で不規則抗体が陽性になる以前に行われた血小板輸血14バッグのうち,2バッグがFyb抗原陽性だったことが判明し...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 66; no. 3; pp. 566 - 570
Main Authors 須佐, 梢, 半田, 寛, 横手, 恵子, 入内島, 裕乃, 関上, 智美, 丸橋, 隆行, 岩原, かなえ, 横濱, 章彦, 石川, 怜依奈, 西本, 奈津美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 25.06.2020
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.66.566

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Summary:症例は60代男性.X-3年骨髄異形成症候群と診断.O型RhD陽性,Fy(a+b-),血小板輸血前の不規則抗体スクリーニング陰性.約40年前に溶血性貧血のため複数回の赤血球輸血を受けているが,詳細は不明.病状の悪化からX年Y月より定期的に血小板輸血のみを行っていたが,貧血の進行を認めたため不規則抗体スクリーニングがオーダーされた.このときの不規則抗体スクリーニングで間接抗グロブリン法陽性となり抗Fybが同定された.抗Fybの抗体価は最大で4倍,IgGサブクラスはIgG1であった.のちの調査で不規則抗体が陽性になる以前に行われた血小板輸血14バッグのうち,2バッグがFyb抗原陽性だったことが判明した.本症例において抗Fybが検出された原因として,約40年前に赤血球の輸血歴があること,Fybの免疫原性が弱いこと,精査の結果mimicking抗体が否定されたこと,抗FybのIgG型の自然抗体の頻度は極めて低いことを考慮すると二次免疫応答の可能性が高いが,IgG型の自然抗体も否定できない.血小板輸血のみでも様々な種類の不規則抗体が検出される可能性があることを認識し,輸血業務に携わることが大切である.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.66.566