自己免疫性膵炎の長期予後

自己免疫性膵炎(AIP)は長期経過中に膵石を形成するなど,非アルコール性慢性膵炎へと進展しうる病態の一つである可能性が高い.膵石は慢性膵炎の診断において最も特徴的な画像所見であり,膵管内の膵石ないし膵全体に分布する複数ないしびまん性の石灰化は自己免疫性膵炎の経過中に時折認める.膵石の形成についてはこれまで4~17%程度のAIP症例に合併し,AIPの再燃例,アルコール多飲者に多いと報告されている.われわれの3年以上経過観察が可能であった73例の自己免疫性膵炎症例の検討でも,16例22%に著明な膵石灰化を認め,AIPの再燃例,コントロール不良が膵石の形成および慢性膵炎への進行と関連していた.また,...

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Published in膵臓 Vol. 30; no. 1; pp. 94 - 100
Main Authors 丸山, 真弘, 浅野, 純平, 川, 茂幸, 伊藤, 哲也, 小口, 貴也, 浜野, 英明, 新倉, 則和, 渡邉, 貴之, 金井, 圭太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.02.2015
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.30.94

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Summary:自己免疫性膵炎(AIP)は長期経過中に膵石を形成するなど,非アルコール性慢性膵炎へと進展しうる病態の一つである可能性が高い.膵石は慢性膵炎の診断において最も特徴的な画像所見であり,膵管内の膵石ないし膵全体に分布する複数ないしびまん性の石灰化は自己免疫性膵炎の経過中に時折認める.膵石の形成についてはこれまで4~17%程度のAIP症例に合併し,AIPの再燃例,アルコール多飲者に多いと報告されている.われわれの3年以上経過観察が可能であった73例の自己免疫性膵炎症例の検討でも,16例22%に著明な膵石灰化を認め,AIPの再燃例,コントロール不良が膵石の形成および慢性膵炎への進行と関連していた.また,今回の検討ではAIPの再燃とともに膵石形成に関わる危険因子として膵頭部腫大と,膵体部主膵管の非狭細による膵液のうっ滞が抽出された.膵内外分泌能の長期経過については今後の検討課題である.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.30.94