原発性免疫不全症

原発性免疫不全症は, 多くは遺伝素因による免疫機構の先天的な欠陥が原因である. 一般には, リンパ球による特異的免疫機構の欠陥と補体や食細胞による非特異的免疫機構の欠陥とに分けられる. 原発性免疫不全症の研究は, ヒトの免疫機構や感染防御機構の解明に大きな役割を果たしてきている. 近年, 分子生物学的研究手法の導入により, 原発性免疫不全症の分子, 遺伝子レベルでの欠陥機序が次々に明らかになってきている1. このため, 原発性免疫不全症の分類が再整理されている. 今回は, 原発性免疫不全症の分類と原発性特異的免疫不全症の主な疾患, そして日本における原発性免疫不全症の登録について述べる. 1....

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 2; pp. 83 - 91
Main Author 福永, 慶隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2000
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ISSN1345-4676
1347-3409
DOI10.1272/jnms.67.83

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Summary:原発性免疫不全症は, 多くは遺伝素因による免疫機構の先天的な欠陥が原因である. 一般には, リンパ球による特異的免疫機構の欠陥と補体や食細胞による非特異的免疫機構の欠陥とに分けられる. 原発性免疫不全症の研究は, ヒトの免疫機構や感染防御機構の解明に大きな役割を果たしてきている. 近年, 分子生物学的研究手法の導入により, 原発性免疫不全症の分子, 遺伝子レベルでの欠陥機序が次々に明らかになってきている1. このため, 原発性免疫不全症の分類が再整理されている. 今回は, 原発性免疫不全症の分類と原発性特異的免疫不全症の主な疾患, そして日本における原発性免疫不全症の登録について述べる. 1. 原発性免疫不全症の分類 原発性免疫不全症の分類は, WHOから新しい知見に基づき3~5年ごとに改訂され発表されてきている. ここでは1997年に発表されたWHOレポート2をもとにその分類を示す. 原発性免疫不全症は, 1)原発性特異的免疫不全症[i)複合免疫不全症(表1), ii)抗体産生不全(抗体欠乏)を主徴とする免疫不全症(表2), iii)その他の明確に定義された免疫不全症(表3), iv)その他の原発性免疫不全症(表4)], 2)補体欠損症(表5), 3)先天性の食細胞数の減少および/または機能不全(表6), 4)免疫不全を伴う先天性または遺伝性疾患(表7)に分類されている.
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.67.83