変異GNAS導入マウス遺伝子改変膵管内乳頭粘液性腫瘍モデルの開発

本稿では膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の臨床病理学的徴候,遺伝子異常,及び遺伝子改変マウスモデル(GEMM)についての現時点での知見を解説する.IPMNは粘液を入れた膵管拡張を主徴とする嚢胞性腫瘍で,硬く浸潤性の腫瘍を作る膵管癌とは異なる特徴を有する.一方で,IPMNは膵管癌の前駆病変に相当することも知られている.IPMNでは刺激性G蛋白αサブユニットをエンコードするGNASおよびKirsteinラット肉腫ウィルス癌遺伝子ホモログ産物をエンコードするKRASに高頻度の体細胞性変異を認める.我々は変異GNAS,変異KrasをPtf1a-Cre依存的に膵臓において発現するGEMMを開発した.この...

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Published in膵臓 Vol. 31; no. 1; pp. 63 - 68
Main Authors 髙城, 克暢, 大村谷, 昌樹, 古川, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.02.2016
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.31.63

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Summary:本稿では膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の臨床病理学的徴候,遺伝子異常,及び遺伝子改変マウスモデル(GEMM)についての現時点での知見を解説する.IPMNは粘液を入れた膵管拡張を主徴とする嚢胞性腫瘍で,硬く浸潤性の腫瘍を作る膵管癌とは異なる特徴を有する.一方で,IPMNは膵管癌の前駆病変に相当することも知られている.IPMNでは刺激性G蛋白αサブユニットをエンコードするGNASおよびKirsteinラット肉腫ウィルス癌遺伝子ホモログ産物をエンコードするKRASに高頻度の体細胞性変異を認める.我々は変異GNAS,変異KrasをPtf1a-Cre依存的に膵臓において発現するGEMMを開発した.このモデルは拡張膵管内に乳頭状上皮増生をみる多発嚢胞性腫瘍を生じ,ヒトIPMNとよく類似していた.このモデルはIPMN発生進展の分子機序の解明と効果的な診療法開発に寄与するものと期待される.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.31.63