小児気管支喘息患児におけるAir Leak Syndrome

Air Leak Syndrome(気胸, 縦隔気腫, 皮下気腫)は, 気管支喘息の重症発作時に合併することが知られているが, その頻度は1%以下と稀である1. しかし, われわれは小発作, 中発作でありながら, おそらくは発作中に生じた激しい咳嗽により一過性に急激な肺胞内圧上昇をきたし, Air Leak Syndromeを発症したと推察される2症例を経験したので紹介する. 症例1:13歳, 男児. 気管支喘息にて当科外来通院中であったが, 平成11年4月19日, 喘息小発作にともない胸痛, 頸部痛を発症した. その後, 発作は軽快するも胸痛, 頸部痛は持続するため翌20日に来院した. 来院...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 1; pp. 78 - 80
Main Authors 福永, 慶隆, 千葉, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2001
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ISSN1345-4676
1347-3409
DOI10.1272/jnms.68.78

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Summary:Air Leak Syndrome(気胸, 縦隔気腫, 皮下気腫)は, 気管支喘息の重症発作時に合併することが知られているが, その頻度は1%以下と稀である1. しかし, われわれは小発作, 中発作でありながら, おそらくは発作中に生じた激しい咳嗽により一過性に急激な肺胞内圧上昇をきたし, Air Leak Syndromeを発症したと推察される2症例を経験したので紹介する. 症例1:13歳, 男児. 気管支喘息にて当科外来通院中であったが, 平成11年4月19日, 喘息小発作にともない胸痛, 頸部痛を発症した. その後, 発作は軽快するも胸痛, 頸部痛は持続するため翌20日に来院した. 来院時, 呼吸困難はなかったが, 深吸気で胸痛の増悪を訴えた. 理学的には, 頸部触診で圧痛とともに握雪感を呈したが, 肺聴診では正常呼吸音で左右差は認められず, 多呼吸やチアノーゼもみられなかった. 動脈血ガス分析は, PH7.424, PaCO2 38.9mmHg, PaO289.7mmHg, HCO3 25.0mmol/l, ABE1.2mmol/l, Sat97.5%と正常であった. 単純X線検査(図1-a)では, 左心縁に沿う帯状の透亮像(縦隔気腫)と肩部, 頸部の軟部組織に皮下気腫を認めた. 入院にて, 喘息のコントロールを目的にアミノフィリン3.8mg/kgを1日4回の点滴静注, 塩酸プロカテロール25μgを1日3回内服, 硫酸サルブタモール2mgを1日3回吸入を行い, 経過観察とした.
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.68.78