未受診妊婦より自宅分娩にて出生した腹壁破裂の1例
症例は日齢0女児.他院にて妊娠初期に妊娠が確認されたが,その後未受診となっていた.在胎36週6日に自宅分娩となったため,母児ともに救急搬送となった.児は腹壁破裂を認め,日齢1にSilo形成を行い,脱出臓器を徐々に腹腔内に還納後,日齢10に腹壁欠損部への臍帯充填によるsutureless腹壁閉鎖法を施行した.術後敗血症などの重篤な合併症はなく日齢78に退院となった.未受診妊婦から出生した児は予後不良とされるが,腹壁破裂のように合併奇形が少なく,生存率が高い疾患の場合は,出生後の処置が適切であれば,自宅分娩であっても救命可能であると思われた.未受診妊婦の出産は非常にハイリスクであるが,腹壁破裂の母...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 56; no. 1; pp. 86 - 90 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.02.2020
日本小児外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
DOI | 10.11164/jjsps.56.1_86 |
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Summary: | 症例は日齢0女児.他院にて妊娠初期に妊娠が確認されたが,その後未受診となっていた.在胎36週6日に自宅分娩となったため,母児ともに救急搬送となった.児は腹壁破裂を認め,日齢1にSilo形成を行い,脱出臓器を徐々に腹腔内に還納後,日齢10に腹壁欠損部への臍帯充填によるsutureless腹壁閉鎖法を施行した.術後敗血症などの重篤な合併症はなく日齢78に退院となった.未受診妊婦から出生した児は予後不良とされるが,腹壁破裂のように合併奇形が少なく,生存率が高い疾患の場合は,出生後の処置が適切であれば,自宅分娩であっても救命可能であると思われた.未受診妊婦の出産は非常にハイリスクであるが,腹壁破裂の母体の特徴から未受診で妊娠経過を過ごし,出生前診断されないまま,自宅分娩や飛び込み分娩にて出生することは今後も起こりうる事象であり,妊婦健診および胎児診断の重要性については女性のみならず,男性へも教育するシステムの充実が急務である. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.56.1_86 |