頭部外傷後の多発脳血管攣縮に対し経皮的血管形成術および局所動注療法を施行して良好な結果を得た一例
「背景」頭部外傷後に脳血管攣縮が起きることが知られており, 症候性となることは非常にまれだが, 症候性になった場合は予後が不良と言われている. 頭部外傷後脳血管攣縮は, 本邦と米国の重症頭部外傷のガイドラインにその診断や治療に関する記述はなく, 標準的治療が確立していないため, 脳動脈瘤破裂後の脳血管攣縮の治療に準じて行われる. 外傷性脳血管攣縮によって意識障害と左片麻痺を認めた症例に対して, バルーンによる経皮的血管形成術(PTA)と局所動注療法を施行し症状が改善した一例を経験したので, 最新の知見とともに報告する. 「症例」21歳女性. マンションの5階より墜落し受傷した. 既往歴に統合失...
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Published in | 日本神経救急学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 91 - 96 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経救急学会
30.03.2012
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Subjects | |
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ISSN | 1619-3067 2187-5006 |
DOI | 10.11170/jjcne.24.3_91 |
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Summary: | 「背景」頭部外傷後に脳血管攣縮が起きることが知られており, 症候性となることは非常にまれだが, 症候性になった場合は予後が不良と言われている. 頭部外傷後脳血管攣縮は, 本邦と米国の重症頭部外傷のガイドラインにその診断や治療に関する記述はなく, 標準的治療が確立していないため, 脳動脈瘤破裂後の脳血管攣縮の治療に準じて行われる. 外傷性脳血管攣縮によって意識障害と左片麻痺を認めた症例に対して, バルーンによる経皮的血管形成術(PTA)と局所動注療法を施行し症状が改善した一例を経験したので, 最新の知見とともに報告する. 「症例」21歳女性. マンションの5階より墜落し受傷した. 既往歴に統合失調症を有していた. 来院時は, 意識Glasgow Coma Scale(GCS)E1V1M4, 血圧70/40mmHg, 心拍数170/分, 呼吸数27/分, 体温35.1℃, SpO2測定不能, 瞳孔散大, 対光反射消失. 大量の口腔内出血, 顔面の変形を認めたため気道確保を行い, 両側肺挫傷および右血胸に対して, 胸腔ドレナージを施行した. |
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ISSN: | 1619-3067 2187-5006 |
DOI: | 10.11170/jjcne.24.3_91 |