切迫脳卒中で発症した高齢者頸部頸動脈狭窄症の検討

切迫脳卒中(impending stroke:IS)は, 神経学的緊急症として脳梗塞の最も重要な危険因子の1つであり, 即座の対応が必要な病態である. ISの中でも, 頸部頸動脈狭窄症によるものは, 内腔狭窄に伴い, 脳血流量の低下や頭蓋内塞栓(artery to artery embolism)により, さまざまな脳神経症状をきたすため, 血栓内膜剥離術や頸動脈ステント留置術による血行再建が必要である. しかし, 長寿国であるわが国における, ISで発症した75歳以上の高齢者頸部頸動脈狭窄症患者の実態がどのような状況にあるのか明らかではなく, また, 積極的に外科的血行再建をすべきなのか,...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 33; no. 4; pp. 256 - 260
Main Authors 三原, 結子, 神保, 洋之, 東郷, 康二, 岩崎, 康夫, 儘田, 佳明, 田中, 幸太郎, 朝本, 俊司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2005
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.33.256

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Summary:切迫脳卒中(impending stroke:IS)は, 神経学的緊急症として脳梗塞の最も重要な危険因子の1つであり, 即座の対応が必要な病態である. ISの中でも, 頸部頸動脈狭窄症によるものは, 内腔狭窄に伴い, 脳血流量の低下や頭蓋内塞栓(artery to artery embolism)により, さまざまな脳神経症状をきたすため, 血栓内膜剥離術や頸動脈ステント留置術による血行再建が必要である. しかし, 長寿国であるわが国における, ISで発症した75歳以上の高齢者頸部頸動脈狭窄症患者の実態がどのような状況にあるのか明らかではなく, また, 積極的に外科的血行再建をすべきなのか, 薬物療法で保存的に治療するのか, 治療法が確立していない. そのため, 積極的な治療が可能でありながらも, 保存的治療だけで徐々に悪化していく症例を目のあたりにすることもある. 平成14年簡易生命表6)によれば, わが国の平均余命は, 75歳では男性11.07年, 女性14.67年で, 80歳では男性8.25年, 女性11.02年であり, 80歳でも10年近い余命がある.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.33.256