輸血部門での解凍による新鮮凍結血漿の依頼量・輸血量の削減

当院では新鮮凍結血漿(以下,FFP)の管理を適切に行うため,2015年10月より輸血部門でのFFP解凍を開始した.運用を開始する前後の期間において,FFPの依頼および輸血単位数を後方視的に調査した.FFP解凍には専用の解凍装置を使用し,約25分で1~4本のFFP-480を解凍した.運用開始前の9カ月間(前期)では,FFP依頼量は14,121単位,輸血量は7,149単位であった.運用開始後の9カ月間(後期)では,FFP依頼量は9,399単位で33.4%の減少,輸血量は5,522単位で22.8%の減少と,いずれも前期と比較して有意な減少を認めた.またFFP依頼量に対する輸血量の割合(輸血実施率)は...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 64; no. 3; pp. 484 - 489
Main Authors 今井, 厚子, 森, 絵理子, 植松, 正将, 田坂, 大象, 野呂, 光恵, 山本, 晃士, 阿南, 昌弘, 大木, 浩子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 30.06.2018
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.64.484

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Summary:当院では新鮮凍結血漿(以下,FFP)の管理を適切に行うため,2015年10月より輸血部門でのFFP解凍を開始した.運用を開始する前後の期間において,FFPの依頼および輸血単位数を後方視的に調査した.FFP解凍には専用の解凍装置を使用し,約25分で1~4本のFFP-480を解凍した.運用開始前の9カ月間(前期)では,FFP依頼量は14,121単位,輸血量は7,149単位であった.運用開始後の9カ月間(後期)では,FFP依頼量は9,399単位で33.4%の減少,輸血量は5,522単位で22.8%の減少と,いずれも前期と比較して有意な減少を認めた.またFFP依頼量に対する輸血量の割合(輸血実施率)は,前期が50.6%,後期が58.8%と後期で有意な増加を認めた.一方,FFP依頼時にプロトロンビン時間が30%未満であった症例数の割合は,前期が10.6%,後期が18.2%と後期の方が有意に高く,適正使用率の向上を認めた.以上より,輸血部門でのFFP解凍・供給により臨床スタッフの負担軽減が図られただけでなく,臨床病態や凝固検査値に応じた適切な量のFFPが依頼,輸血されるようになったと考えられた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.64.484