輸血後の赤血球不規則抗体発現に関する前方向性研究―パイロット試験の結果
不規則抗体検査は,通常赤血球製剤の輸血後には実施しないため,輸血後の各不規則抗体の真の陽性率は不明である.輸血後の不規則抗体の陽性化について多施設共同前方向性研究を企画し,今回はそのパイロット試験を実施した.2016年から2018年に当施設で初回の赤血球製剤の輸血を実施し,同意を得た被検者を対象に,不規則抗体の有無を追跡した.不規則抗体の発現に影響する因子として性別,年齢,原疾患,輸血歴,輸血量,輸血回数と最終の輸血日から最初の検査実施日までの期間を調査した.参加の承諾は307例から得られ,輸血後263例に不規則抗体検査がのべ267回実施された.輸血前の不規則抗体の陽性率は1.6%(5/307...
Saved in:
Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 65; no. 5; pp. 810 - 816 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
25.10.2019
日本輸血・細胞治療学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1881-3011 1883-0625 |
DOI | 10.3925/jjtc.65.810 |
Cover
Summary: | 不規則抗体検査は,通常赤血球製剤の輸血後には実施しないため,輸血後の各不規則抗体の真の陽性率は不明である.輸血後の不規則抗体の陽性化について多施設共同前方向性研究を企画し,今回はそのパイロット試験を実施した.2016年から2018年に当施設で初回の赤血球製剤の輸血を実施し,同意を得た被検者を対象に,不規則抗体の有無を追跡した.不規則抗体の発現に影響する因子として性別,年齢,原疾患,輸血歴,輸血量,輸血回数と最終の輸血日から最初の検査実施日までの期間を調査した.参加の承諾は307例から得られ,輸血後263例に不規則抗体検査がのべ267回実施された.輸血前の不規則抗体の陽性率は1.6%(5/307例),輸血後の陽性率は3.8%(10/263例),1.9%(5例)で新規に不規則抗体(抗C:1例,抗Jka:1例,抗E+抗c:1例,抗E:2例)が検出された.輸血量の平均値は,新規に不規則抗体が検出された群が20±14(中央値:13)単位で,非検出群の7±8(4)単位に比べ多かった(p=0.002).安全性や倫理面で本試験を実施する上で障害はなかった. |
---|---|
ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
DOI: | 10.3925/jjtc.65.810 |