化学療法が著効しconversion surgeryを施行し得たStage IVb膵癌の2例

本論文は,転移を有する膵癌でgemcitabine(GEM)化学療法後に治癒切除ができた2例の報告である.症例1は69歳男性.CTで膵体部腫瘍を指摘され,EUS-FNAでadenocarcinomaの診断となった.開腹手術に臨んだが,腹膜播種結節を認め試験開腹術となった.GEM単剤化学療法を開始し,18か月間増大なく播種結節は同定し得なかった.再度開腹手術に臨み腹膜播種は認めず,膵体尾部切除術を施行した.症例2は73歳女性.CTで膵体部腫瘍と肝S4に低吸収域を認め,EUS-FNAでadenocarcinomaであり,膵癌肝転移の診断となった.GEM単剤化学療法を開始し,原発巣,肝転移巣は不明瞭...

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Published in膵臓 Vol. 32; no. 1; pp. 78 - 86
Main Authors 肱岡, 範, 丹羽, 康正, 原, 和生, 伊東, 文子, 岩屋, 博道, 松本, 慎平, 千田, 嘉毅, 平山, 貴視, 水野, 伸匡, 倉岡, 直亮, 平山, 裕, 夏目, 誠治, 田近, 正洋, 鈴木, 博貴, 石原, 誠, 近藤, 尚, 藤田, 曜, 清水, 泰博, 大西, 祥代, 鳥山, 和浩, 奥野, のぞみ, 田中, 努, 渋谷, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.02.2017
Subjects
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.32.78

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Summary:本論文は,転移を有する膵癌でgemcitabine(GEM)化学療法後に治癒切除ができた2例の報告である.症例1は69歳男性.CTで膵体部腫瘍を指摘され,EUS-FNAでadenocarcinomaの診断となった.開腹手術に臨んだが,腹膜播種結節を認め試験開腹術となった.GEM単剤化学療法を開始し,18か月間増大なく播種結節は同定し得なかった.再度開腹手術に臨み腹膜播種は認めず,膵体尾部切除術を施行した.症例2は73歳女性.CTで膵体部腫瘍と肝S4に低吸収域を認め,EUS-FNAでadenocarcinomaであり,膵癌肝転移の診断となった.GEM単剤化学療法を開始し,原発巣,肝転移巣は不明瞭化し,9か月間増悪なく,腹腔動脈合併膵体尾部切除術,肝部分切除術を施行した.切除不能膵癌に対するconversion surgeryの適応を検討する上で貴重な症例であり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.32.78