安全で予知性の高い硬組織増生術とその使い分け
上部構造装着後の辺縁軟組織の退縮を抑止するためには,インプラント体の唇(頬)側に2mm以上の厚みの硬組織が必要とされている.そのため,既存骨の厚みが薄い場合は,何かしらの硬組織増生術が必要とされる.従来,高度に萎縮した顎堤に対してはブロック骨移植が推奨されてきたが,いびつで複雑な表面形態をしている母床骨に,ブロック骨を適合させることは容易ではない.また,ブロック骨の適合が不良の場合は,生着不良を引き起こすことがあることも問題であった.そのようななか,Dr. URBANは粉砕自家骨と吸収スピードの遅い骨補填材(脱タンパク化ウシ骨ミネラル)を混合した移植材を,吸収性メンブレンとピンで固定するソーセ...
Saved in:
Published in | 日本口腔インプラント学会誌 Vol. 33; no. 3; pp. 266 - 274 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
30.09.2020
日本口腔インプラント学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-6695 2187-9117 |
DOI | 10.11237/jsoi.33.266 |
Cover
Summary: | 上部構造装着後の辺縁軟組織の退縮を抑止するためには,インプラント体の唇(頬)側に2mm以上の厚みの硬組織が必要とされている.そのため,既存骨の厚みが薄い場合は,何かしらの硬組織増生術が必要とされる.従来,高度に萎縮した顎堤に対してはブロック骨移植が推奨されてきたが,いびつで複雑な表面形態をしている母床骨に,ブロック骨を適合させることは容易ではない.また,ブロック骨の適合が不良の場合は,生着不良を引き起こすことがあることも問題であった.そのようななか,Dr. URBANは粉砕自家骨と吸収スピードの遅い骨補填材(脱タンパク化ウシ骨ミネラル)を混合した移植材を,吸収性メンブレンとピンで固定するソーセージテクニックを発表した.このテクニックは,顆粒状の混合補填材を用いるため母床骨との適合を心配する必要がなく,メンブレンは創裂開率が低い吸収性メンブレンを用いているため,比較的安全な術式であると考えられる.しかし,増生後のグラフト吸収量が多いことが難点であり,特に外側からの圧が集中する唇(頬)側歯槽堤のショルダー部分での吸収が顕著なため,インプラント体埋入時に追加の骨再生誘導法(Guided Bone Regeneration:GBR)が必要になる場合も多い.また,垂直的なスペース保持能力が乏しいことから,垂直的な増生を目的にする場合や,水平的な増生においても歯槽堤のショルダー部分に十分な厚みの硬組織を構築したい場合は,チタンフレーム付き非吸収性メンブレンの使用が望ましいと考えられる. |
---|---|
ISSN: | 0914-6695 2187-9117 |
DOI: | 10.11237/jsoi.33.266 |