エトポシド注射用製剤の輸液ポンプ使用条件下における希釈後安定性の評価

「緒言」注射剤は直接血管内に投与される薬剤であることから, 第十六改定日本薬局方(局方)で規定された様々な製剤試験により無菌性の確保, 発熱性物質・異物などの混入防止が図られている. また, 内服薬と異なり, 注射剤は輸液による溶解や希釈, あるいはほかの注射剤との混合による外観変化(結晶析出, 着色など)や力価の低下といったいわゆる配合変化が臨床上しばしば問題となる. 配合変化のなかでも特に結晶析出は, 析出した結晶が投与ラインを閉塞させることに加え, 肺塞栓を引き起こすことも報告されていることから, 治療への影響が大きいとされている. 実際, 結晶析出の恐れがあるセフトリアキソンとCa含有...

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Published in医療薬学 Vol. 46; no. 2; pp. 100 - 108
Main Authors 高田, 龍平, 鈴木, 洋史, 山本, 武人, 中島, 克佳, 奈良, 克彦, 折山, 豊仁, 鈴木, 悠平, 徳田, 篤志, 長瀬, 幸恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.02.2020
日本医療薬学会
Subjects
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.46.100

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Summary:「緒言」注射剤は直接血管内に投与される薬剤であることから, 第十六改定日本薬局方(局方)で規定された様々な製剤試験により無菌性の確保, 発熱性物質・異物などの混入防止が図られている. また, 内服薬と異なり, 注射剤は輸液による溶解や希釈, あるいはほかの注射剤との混合による外観変化(結晶析出, 着色など)や力価の低下といったいわゆる配合変化が臨床上しばしば問題となる. 配合変化のなかでも特に結晶析出は, 析出した結晶が投与ラインを閉塞させることに加え, 肺塞栓を引き起こすことも報告されていることから, 治療への影響が大きいとされている. 実際, 結晶析出の恐れがあるセフトリアキソンとCa含有輸液を混合した注射薬を1~2回投与した後に死亡した症例の報告もあり, 結晶析出は臨床現場において確実に回避することが重要となる. そのため, 注射剤を製造する製薬企業では注射剤の溶解・希釈後の安定性を評価しデータを提供することが一般的であるが, 限られた実験条件における評価に留まっており, 実臨床において起こりうる条件を網羅しているとは言い難いのが現状である.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.46.100