輸血療法中にLISS-IATで不規則抗体が陽転化した2症例

われわれは造血器疾患に対する輸血療法中に,患者とRh血液型が同型の赤血球製剤(RBC-LR)を輸血したにも関わらず,不規則抗体産生もしくは再活性化された2症例を経験したので報告する.症例1は2013年3月,RBC-LR輸血後に酵素法で抗Eが同定された.以降のRBC-LRはE抗原・c抗原陰性で対応していたが,2014年12月,間接抗グロブリン試験(IAT)でも抗Eが検出された.症例2は初回の不規則抗体検査で抗Eが同定され,RBC-LRはE抗原・c抗原陰性で対応した.抗EはIATで陰性化したが,血小板製剤(PC-LR)輸血後に再度陽性となり,さらに抗cも同定された.輸血されたPC-LRにE抗原・c...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 65; no. 6; pp. 870 - 875
Main Authors 阿部, 操, 伊藤, 量基, 大西, 修司, 大澤, 眞輝, 吉田, 由香利, 井上, まどか, 山岡, 学, 野村, 昌作, 北畑, もも香, 北, 睦実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 20.12.2019
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.65.870

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Summary:われわれは造血器疾患に対する輸血療法中に,患者とRh血液型が同型の赤血球製剤(RBC-LR)を輸血したにも関わらず,不規則抗体産生もしくは再活性化された2症例を経験したので報告する.症例1は2013年3月,RBC-LR輸血後に酵素法で抗Eが同定された.以降のRBC-LRはE抗原・c抗原陰性で対応していたが,2014年12月,間接抗グロブリン試験(IAT)でも抗Eが検出された.症例2は初回の不規則抗体検査で抗Eが同定され,RBC-LRはE抗原・c抗原陰性で対応した.抗EはIATで陰性化したが,血小板製剤(PC-LR)輸血後に再度陽性となり,さらに抗cも同定された.輸血されたPC-LRにE抗原・c抗原陽性が含まれていた.不規則抗体産生もしくは再活性化の原因は1例目は不明であった.今後も症例の蓄積により原因究明に努めたいと考えている.2例目は,PC-LRに含まれる微量の赤血球が関与したと考えられた.今回の2症例を経験して,RBC-LR輸血前後だけでなく,定期的に不規則抗体検査を実施する重要性を再認識した.当院では臨床的意義のある不規則抗体保有患者に不規則抗体カードを発行しており,不規則抗体が陰性化した状態で患者が転院した際の輸血療法の一助になればと考えている.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.65.870