救命救急センターにおける神経救急─ピットフォールに陥らないために

「はじめに」神経救急の臨床は意外性に満ちている. 判断の遅れや誤りが, 患者の生死を決することが稀ではない. 思わぬピットフォールが随所に待ち構えている. 後から考えると避け得たと思われる症例もあるが, やはり回避困難であった症例もある. 筆者の救命救急センターでの経験から代表例を呈示し, 読者諸賢の注意を喚起したい. 「症例」「症例」: 80歳, 女性. 「主訴」: 冷汗を伴う気分不良と胸痛. 「既往歴」: 7年前に冠動脈撮影にて多発性の狭窄を指摘されたが, 冠動脈血行再建術は非施行であった. 3~4年前から不整脈を指摘され, 10日前からMobitz II型のA-V blockが出現し内服...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本神経救急学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 61 - 70
Main Author 小畑, 仁司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経救急学会 30.03.2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1619-3067
2187-5006
DOI10.11170/jjcne.24.3_61

Cover

More Information
Summary:「はじめに」神経救急の臨床は意外性に満ちている. 判断の遅れや誤りが, 患者の生死を決することが稀ではない. 思わぬピットフォールが随所に待ち構えている. 後から考えると避け得たと思われる症例もあるが, やはり回避困難であった症例もある. 筆者の救命救急センターでの経験から代表例を呈示し, 読者諸賢の注意を喚起したい. 「症例」「症例」: 80歳, 女性. 「主訴」: 冷汗を伴う気分不良と胸痛. 「既往歴」: 7年前に冠動脈撮影にて多発性の狭窄を指摘されたが, 冠動脈血行再建術は非施行であった. 3~4年前から不整脈を指摘され, 10日前からMobitz II型のA-V blockが出現し内服加療中であった. 「現病歴」: 就眠中に気分不良となり冷汗を伴った. 救急搬送途上に前胸部痛を訴え, 来院直前に心肺停止となるも, すぐに心肺蘇生され, 自己心拍と自発呼吸再開をみた. 「来院時所見と経過」: 意識レベルJCS 200, GCS 4(E1, V1, M2).
ISSN:1619-3067
2187-5006
DOI:10.11170/jjcne.24.3_61