アジアにおける赤血球不規則抗体研究 進捗状況と国内調査結果

「はじめに」輸血に関わる同種免疫に関する研究は, 赤血球, 白血球, 血小板, 血漿中の蛋白を対象に進められてきた. 赤血球の抗原として, 赤血球膜の蛋白, 糖蛋白, 糖脂質がある. これに対する抗体は, 自然抗原の環境からの侵入, 病原体, 他人由来の赤血球や臓器への暴露により体内で産生され, 時に免疫学的な異常をひきおこす. 臨床的には, 輸血, 妊娠と出産にともなって認められることが多い. 現在ほとんどの赤血球同種の抗原は30系列の既知のグループに分類されている. 各赤血球膜抗原の免疫原性は異なる. これらは各抗原の分子構造に起因する. たとえば, Rh系抗原では, D抗原はC, c,...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 60; no. 3; pp. 435 - 441
Main Authors 友田, 豊, 大戸, 斉, 万木, 紀美子, 内川, 誠, 竹下, 明裕, 渡邊, 弘子, 紀野, 修一, 大友, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 30.06.2014
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.60.435

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Summary:「はじめに」輸血に関わる同種免疫に関する研究は, 赤血球, 白血球, 血小板, 血漿中の蛋白を対象に進められてきた. 赤血球の抗原として, 赤血球膜の蛋白, 糖蛋白, 糖脂質がある. これに対する抗体は, 自然抗原の環境からの侵入, 病原体, 他人由来の赤血球や臓器への暴露により体内で産生され, 時に免疫学的な異常をひきおこす. 臨床的には, 輸血, 妊娠と出産にともなって認められることが多い. 現在ほとんどの赤血球同種の抗原は30系列の既知のグループに分類されている. 各赤血球膜抗原の免疫原性は異なる. これらは各抗原の分子構造に起因する. たとえば, Rh系抗原では, D抗原はC, c, E, e抗原よりも強い抗原性を持つ. さらに, 同じD抗原のなかでも, 分子構造の異なるD抗原亜型では分子上の抗原発現部位の数, 抗原性が異なる. 他の抗原亜型でも同様である. 免疫応答が, 遺伝的な, 人種差の影響を受けることは, 多くの疾患や病態で指摘されている.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.60.435