血小板輸血によるアナフィラキシーショック回避に洗浄血小板が有用であった同種移植例

[緒言]アナフィラキシーショックは,赤十字血液センターに報告される年間1,500例の非溶血性輸血副作用の20%を占める.洗浄血小板輸血によりアナフィラキシーショックを回避できた症例を経験した.[症例]41歳男性.骨髄異形成症候群に対し,血縁者間末梢血幹細胞移植を行った.抗HLA抗体により,移植後早期に血小板輸血不応となった.移植後19日目,血小板輸血開始15分後に口唇浮腫・呼吸困難・血圧低下を認め,アナフィラキシーショックと診断し,輸血を中止した.出血傾向を伴ったため,翌日もステロイド・抗ヒスタミン薬の前投薬後HLA適合血小板を輸血したが,開始15分後に同様の状態となった.近畿ブロック血液セン...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 64; no. 3; pp. 529 - 533
Main Authors 堀, 善和, 松浪, 美佐子, 西川, 彰則, 渕上, 淳也, 弘井, 孝幸, 大岩, 健洋, 堀端, 容子, 田村, 志宣, 園木, 孝志, 井本, 翔平, 冨坂, 竜矢, 中島, 志保, 小畑, 裕史, 細井, 裕樹, 蒸野, 寿紀, 村田, 祥吾, 山下, 友佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 30.06.2018
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.64.529

Cover

More Information
Summary:[緒言]アナフィラキシーショックは,赤十字血液センターに報告される年間1,500例の非溶血性輸血副作用の20%を占める.洗浄血小板輸血によりアナフィラキシーショックを回避できた症例を経験した.[症例]41歳男性.骨髄異形成症候群に対し,血縁者間末梢血幹細胞移植を行った.抗HLA抗体により,移植後早期に血小板輸血不応となった.移植後19日目,血小板輸血開始15分後に口唇浮腫・呼吸困難・血圧低下を認め,アナフィラキシーショックと診断し,輸血を中止した.出血傾向を伴ったため,翌日もステロイド・抗ヒスタミン薬の前投薬後HLA適合血小板を輸血したが,開始15分後に同様の状態となった.近畿ブロック血液センターの協力により,移植後24日目より洗浄血小板が供給され,アナフィラキシーショックは回避された.輸血前投薬も徐々に中止できた.[考察]洗浄血小板製剤により,アレルギー反応の頻度が減少する.洗浄過程での血小板数減少が懸念されるが,止血効果も十分得られた.2016年9月より洗浄血小板製剤の供給が開始され,アレルギーを来す症例には積極的な適応と考えられた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.64.529