消化管出血,腹腔内出血で発症した出血性胆嚢炎の1例

症例は82歳の男性で,胆嚢結石・総胆管結石症による閉塞性黄疸で入院し,内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)にて総胆管結石を切石した.その際急性膵炎を発症し,2カ月間の入院加療を行った.その後胆嚢摘出術を予定していたが,腹痛発作を頻回に認め緊急入院した.手術待機中に吐血し,内視鏡でファーター乳頭から血液の流出を認め,胆道出血と診断した.CT,MRI上腹腔内出血を認めたが活動性出血の所見はなく,待機開腹手術を施行した.開腹所見は,腹腔内出血を認め胆嚢底部に穿孔を認めた.穿孔部に結石が存在し胆嚢内に多量の凝血塊を認めた.胆道鏡で胆管内に出血源となる病変を認めず,出血性胆嚢炎による胆嚢穿孔と診断し胆嚢摘...

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Published in胆道 Vol. 28; no. 1; pp. 95 - 100
Main Authors 恩田, 真二, 兼平, 卓, 矢永, 勝彦, 安田, 淳吾, 岡本, 友好
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.03.2014
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.28.95

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Summary:症例は82歳の男性で,胆嚢結石・総胆管結石症による閉塞性黄疸で入院し,内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)にて総胆管結石を切石した.その際急性膵炎を発症し,2カ月間の入院加療を行った.その後胆嚢摘出術を予定していたが,腹痛発作を頻回に認め緊急入院した.手術待機中に吐血し,内視鏡でファーター乳頭から血液の流出を認め,胆道出血と診断した.CT,MRI上腹腔内出血を認めたが活動性出血の所見はなく,待機開腹手術を施行した.開腹所見は,腹腔内出血を認め胆嚢底部に穿孔を認めた.穿孔部に結石が存在し胆嚢内に多量の凝血塊を認めた.胆道鏡で胆管内に出血源となる病変を認めず,出血性胆嚢炎による胆嚢穿孔と診断し胆嚢摘出術・総胆管十二指腸吻合術を施行した.出血性胆嚢炎はショックや胆嚢穿孔など重篤な病態を示すことがあり胆石症の経過観察中は考慮すべきであり,今回腹腔内出血,消化管出血の併発は極めて稀であるので報告した.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.28.95