重症くも膜下出血の管理.根治術施行までの問題点
はじめに 近年の救急医療システムの整備により,発症直後のくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)患者が医療機関に搬送される機会が増加した.超急性期のSAH患者は重症であればあるほど,再破裂の可能性が高く1)2)5)6)17),また呼吸・循環が不安定である18)21).病院到着までに,非可逆性の低酸素性脳障害をきたした場合は,良好な回復は期待しがたく脳動脈瘤根治術の適応とはならない23).超急性期SAH患者において再破裂を予防しつつ呼吸・循環動態の安定を図ることは脳動脈瘤根治術に先立つべき治療の第一段階といえる3)10).このresuscitation phaseか...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 35; no. 4; pp. 300 - 306 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2007
日本脳卒中の外科学会 |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.35.300 |
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Summary: | はじめに 近年の救急医療システムの整備により,発症直後のくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)患者が医療機関に搬送される機会が増加した.超急性期のSAH患者は重症であればあるほど,再破裂の可能性が高く1)2)5)6)17),また呼吸・循環が不安定である18)21).病院到着までに,非可逆性の低酸素性脳障害をきたした場合は,良好な回復は期待しがたく脳動脈瘤根治術の適応とはならない23).超急性期SAH患者において再破裂を予防しつつ呼吸・循環動態の安定を図ることは脳動脈瘤根治術に先立つべき治療の第一段階といえる3)10).このresuscitation phaseから根治術開始までの全身管理を中心に,三次救命救急センターである当施設における患者管理の実際と成績について検討した. 対象と方法 2003年から2005年に当センターに搬入された連続163名のSAH患者を対象とした.発症の状況や病院到着までの意識レベル,バイタルサインについて,家族,目撃者,救急隊から詳細に発症状況を聴取し,搬送途上の状況は救急隊搬送記録を,到着後は救急外来記録,麻酔記録をretrospectiveに検討した. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.35.300 |