Th17細胞と皮膚疾患

Th17細胞は感染防御などに重要なリンパ球であり,その制御異常は種々の自己免疫疾患や炎症性疾患を導く.Th17細胞はIL-17とIL-22を産生し,上皮系細胞に働きかけ,サイトカイン,ケモカイン,抗菌ペプチド産生を促す.Th17細胞は種々の皮膚疾患の病態に関与し,乾癬,アトピー性皮膚炎,薬疹が代表的である.乾癬では,ある種の樹状細胞がオートクライン的にTNF-αで活性化され,IL-23を産生し,Th17細胞を維持・活性化し,産生されたIL-17とIL-22がケラチノサイトに働きかけ,STAT3を介して肥厚した表皮の病変を形成する.アトピー性皮膚炎では,Th17あるいは他のIL-17またはIL-...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 35; no. 5; pp. 388 - 392
Main Author 戸倉, 新樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2012
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.35.388

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Summary:Th17細胞は感染防御などに重要なリンパ球であり,その制御異常は種々の自己免疫疾患や炎症性疾患を導く.Th17細胞はIL-17とIL-22を産生し,上皮系細胞に働きかけ,サイトカイン,ケモカイン,抗菌ペプチド産生を促す.Th17細胞は種々の皮膚疾患の病態に関与し,乾癬,アトピー性皮膚炎,薬疹が代表的である.乾癬では,ある種の樹状細胞がオートクライン的にTNF-αで活性化され,IL-23を産生し,Th17細胞を維持・活性化し,産生されたIL-17とIL-22がケラチノサイトに働きかけ,STAT3を介して肥厚した表皮の病変を形成する.アトピー性皮膚炎では,Th17あるいは他のIL-17またはIL-22産生細胞が,急性病変から慢性病変への移行を図ると考えられる.薬疹では,Stevens-Johnson症候群,中毒性表皮融解壊死症,acute generalized exanthematous pustulosisでは末梢血でのTh17細胞が増加している.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.35.388