骨粗鬆症性脊椎椎体骨折

「はじめに」骨粗鬆症性骨折の1つとして脊椎椎体骨折は, 最も頻度が高く, 高齢化社会を反映してその数も増加している. 本骨折はおおむね良好な経過をたどるが, 適切な治療が行われないと, 圧潰が進行し後弯変形, 偽関節となり, 頑固な疼痛の持続あるいは遅発性の脊髄麻痺を生じることがあり, 患者に非常な苦痛を強いることがある. 骨粗鬆症を治療することにより予防することが最も大事だが, 骨折を起こしたら早期診断, 適切な治療が重要である. そこで, 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の疫学, 症状, 診断, 治療について述べる. 「有病率」日本人の脊椎圧迫骨折の有病率は, 広島1, 和歌山2, 山梨3の住民を対...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 5; no. 2; pp. 125 - 129
Main Author 元文, 芳和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2009
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.5.125

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Summary:「はじめに」骨粗鬆症性骨折の1つとして脊椎椎体骨折は, 最も頻度が高く, 高齢化社会を反映してその数も増加している. 本骨折はおおむね良好な経過をたどるが, 適切な治療が行われないと, 圧潰が進行し後弯変形, 偽関節となり, 頑固な疼痛の持続あるいは遅発性の脊髄麻痺を生じることがあり, 患者に非常な苦痛を強いることがある. 骨粗鬆症を治療することにより予防することが最も大事だが, 骨折を起こしたら早期診断, 適切な治療が重要である. そこで, 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の疫学, 症状, 診断, 治療について述べる. 「有病率」日本人の脊椎圧迫骨折の有病率は, 広島1, 和歌山2, 山梨3の住民を対象にした調査では, 60歳代は8~13%, 70歳代は30~40%と年齢とともに増加している. 70歳を越えると急激に増加し, また, 脊椎骨折が2椎以上におよぶ割合も増える. 人種間の比較では, アジア人は欧米白人に比べて有病率は低いという報告4も, ほぼ同じであるとの報告5もあり, 一定の見解が得られていない.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.5.125