HLA-B27陽性血清反応陰性脊椎関節炎に対しアダリムマブが有効であった2小児例

血清反応陰性脊椎関節炎はHLA-B27と強い相関が見られる脊椎関節炎で長期の罹患により脊椎関節の運動制限を来たす.小児期の血清反応陰性脊椎関節炎は脊椎関節痛を訴えず四肢の関節痛から発症することが多く診断が難しい.HLA-B27陽性血清反応陰性脊椎関節炎と診断し,アダリムマブ投与により疾患活動性のコントロールを行うことができた2小児例を経験した.症例1は15歳男児.頚部痛で発症し,HLA-B27陽性,MRI検査で仙腸関節炎を認めた.血清反応陰性脊椎炎の診断でステロイドの内服を始め関節痛は消失したが,漸減により再燃しアダリムマブを導入した.症例2は9歳男児.両肩関節,両足関節,両膝関節に疼痛が出現...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 36; no. 6; pp. 473 - 477
Main Authors 野澤, 智, 横田, 俊平, 山崎, 和子, 菊地, 雅子, 櫻井, のどか, 生井, 良幸, 金髙, 太一, 桃井, 貴裕, 佐藤, 知実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2013
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.36.473

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Summary:血清反応陰性脊椎関節炎はHLA-B27と強い相関が見られる脊椎関節炎で長期の罹患により脊椎関節の運動制限を来たす.小児期の血清反応陰性脊椎関節炎は脊椎関節痛を訴えず四肢の関節痛から発症することが多く診断が難しい.HLA-B27陽性血清反応陰性脊椎関節炎と診断し,アダリムマブ投与により疾患活動性のコントロールを行うことができた2小児例を経験した.症例1は15歳男児.頚部痛で発症し,HLA-B27陽性,MRI検査で仙腸関節炎を認めた.血清反応陰性脊椎炎の診断でステロイドの内服を始め関節痛は消失したが,漸減により再燃しアダリムマブを導入した.症例2は9歳男児.両肩関節,両足関節,両膝関節に疼痛が出現し,多関節型若年性特発性関節炎と診断しステロイド,免疫抑制薬の内服を行ったが関節痛は改善しなかった.トシリズマブを導入し関節痛は消失しが,12歳6か月時に仙腸関節とアキレス腱付着部に疼痛を認め,HLA-B27陽性で,MRI検査で左仙腸関節炎,アキレス腱付着部炎を認めた.血清反応陰性脊椎炎の診断でアダリムマブを導入し疼痛は消失した.小児期に発症した血清反応陰性脊椎炎に対しアダリムマブ投与は有効であった.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.36.473