nab-パクリタキセルによる好酸球性胆管炎が疑われた1例

症例は75歳,女性.膵管癌cStageIVと診断されジェムザール(以下GEM)およびnab-パクリタキセル(以下nab-PTX)による化学療法を受けていた.治療開始から2カ月後,化学療法2コース終了後に心窩部痛と肝胆道系酵素の上昇を認めた.化学療法を中止後も症状が遷延し入院で精査を開始した.ERCでは総胆管および総肝管にかけて胆管壁の鋸歯状変化を認め,びまん性の拡張を呈していたが閉塞機転は認めなかった.胆管生検で好酸球浸潤を認め好酸球性胆管炎と診断した.ステロイド治療を開始し改善を認め,改善後はGEM単剤で化学療法を再開したが胆管炎の再燃は認めず,nab-PTXによる好酸球性胆管炎が疑われた....

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Published in胆道 Vol. 36; no. 5; pp. 626 - 632
Main Authors 山下, 浩正, 竹内, 真実子, 新井, 利幸, 林, 大樹朗, 鈴木, 貴也, 伊藤, 貴明, 塚原, 哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.12.2022
日本胆道学会
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.36.626

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Summary:症例は75歳,女性.膵管癌cStageIVと診断されジェムザール(以下GEM)およびnab-パクリタキセル(以下nab-PTX)による化学療法を受けていた.治療開始から2カ月後,化学療法2コース終了後に心窩部痛と肝胆道系酵素の上昇を認めた.化学療法を中止後も症状が遷延し入院で精査を開始した.ERCでは総胆管および総肝管にかけて胆管壁の鋸歯状変化を認め,びまん性の拡張を呈していたが閉塞機転は認めなかった.胆管生検で好酸球浸潤を認め好酸球性胆管炎と診断した.ステロイド治療を開始し改善を認め,改善後はGEM単剤で化学療法を再開したが胆管炎の再燃は認めず,nab-PTXによる好酸球性胆管炎が疑われた.同剤による好酸球性胆管炎の報告例は非常に稀であり文献的考察を交えて報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.36.626