気管圧排を伴った縦隔副甲状腺囊胞の1手術例

背景.縦隔内に進展する大きな副甲状腺囊胞は稀である.症例.76歳男性が胸部異常陰影を主訴に当科に紹介された.胸部CT検査では右上縦隔に甲状腺と気管に接する腫瘤性病変を認めた.胸部MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈する囊胞性病変を認めた.縦隔甲状腺囊胞あるいは縦隔副甲状腺囊胞と診断し,頸部襟状切開にて腫瘍摘出を行った.病理組織学的所見としては,囊胞壁は単層上皮で覆われ,小さな副甲状腺組織が散見された.囊胞病変は副甲状腺囊胞と病理診断された.術後に気管圧排は改善した.術後1年の経過では再発を認めていない.結論.囊胞が増大・巨大化した場合には気道狭窄・閉塞を引き起こす危険性もあるた...

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Published in気管支学 Vol. 44; no. 5; pp. 366 - 370
Main Authors 冨田, 勇樹, 鄭, 慶鎬, 小川, 操希, 宮崎, 幹規, 佐野, 正明, 田中, 達也, 可児, 久典, 立石, 遥子, 遠藤, 克彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.09.2022
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.44.5_366

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Summary:背景.縦隔内に進展する大きな副甲状腺囊胞は稀である.症例.76歳男性が胸部異常陰影を主訴に当科に紹介された.胸部CT検査では右上縦隔に甲状腺と気管に接する腫瘤性病変を認めた.胸部MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈する囊胞性病変を認めた.縦隔甲状腺囊胞あるいは縦隔副甲状腺囊胞と診断し,頸部襟状切開にて腫瘍摘出を行った.病理組織学的所見としては,囊胞壁は単層上皮で覆われ,小さな副甲状腺組織が散見された.囊胞病変は副甲状腺囊胞と病理診断された.術後に気管圧排は改善した.術後1年の経過では再発を認めていない.結論.囊胞が増大・巨大化した場合には気道狭窄・閉塞を引き起こす危険性もあるため,外科的摘出が必要である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.44.5_366