非囊胞性線維症気管支拡張症が先行したアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の1例
背景.アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis:ABPA)は,欧米では囊胞性線維症(cystic fibrosis:CF)を基礎疾患にもつ患者に発症するといわれている.本邦では欧米と比較しCFの発症頻度が極めて少なく,類似病変をもつ非CF気管支拡張症は多く存在するが,それらにABPAが発症するという報告は少ない.症例.61歳,男性.長年にわたり気管支拡張症にて通院中で,喀痰からは緑膿菌が持続的に検出されていた.経過中に喘鳴,粘液栓様の喀痰,末梢血好酸球上昇,IgE高値,アスペルギルス沈降抗体陽性,右下肺野に新たな浸潤影...
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Published in | 気管支学 Vol. 43; no. 5; pp. 504 - 509 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
25.09.2021
日本呼吸器内視鏡学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.43.5_504 |
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Summary: | 背景.アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis:ABPA)は,欧米では囊胞性線維症(cystic fibrosis:CF)を基礎疾患にもつ患者に発症するといわれている.本邦では欧米と比較しCFの発症頻度が極めて少なく,類似病変をもつ非CF気管支拡張症は多く存在するが,それらにABPAが発症するという報告は少ない.症例.61歳,男性.長年にわたり気管支拡張症にて通院中で,喀痰からは緑膿菌が持続的に検出されていた.経過中に喘鳴,粘液栓様の喀痰,末梢血好酸球上昇,IgE高値,アスペルギルス沈降抗体陽性,右下肺野に新たな浸潤影が認められた.また,気管支肺胞洗浄液で好酸球の上昇,気管支肺生検で気管支周囲と間質に好酸球の浸潤を認めABPAの診断に至った.緑膿菌による慢性気道感染は存在したが,ステロイド治療は奏効した.減量中に再燃や呼吸器感染症が認められたが,その後は長期安定している.結語.非CF気管支拡張症が先行したABPAの1例を経験した. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.43.5_504 |