High risk IPMN非切除例の長期予後

IPMN国際診療ガイドライン2017において,high risk stigmata(HRS)とworrisome feature(WF)はより実臨床に即した内容に改訂されたが,悪性診断に対する特異度や陽性的中率の精度は満足のいくものではない.IPMNは高齢で併存疾患を有している場合が多く,HRSやWFを有するIPMN(high risk IPMN)であっても経過観察されるケースも少なくない.最近,high risk IPMN非切除例の中長期予後の報告が散見され,IPMN由来浸潤癌への進行が少なく,疾患特異的生存率も比較的良好であることが示されている.しかし壁在結節≧10mm,主膵管径≧15mm...

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Published in膵臓 Vol. 37; no. 4; pp. 142 - 149
Main Authors 中野, 遼太, 太田, 匠悟, 飯島, 尋子, 塩見, 英之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 31.08.2022
日本膵臓学会
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.37.142

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Summary:IPMN国際診療ガイドライン2017において,high risk stigmata(HRS)とworrisome feature(WF)はより実臨床に即した内容に改訂されたが,悪性診断に対する特異度や陽性的中率の精度は満足のいくものではない.IPMNは高齢で併存疾患を有している場合が多く,HRSやWFを有するIPMN(high risk IPMN)であっても経過観察されるケースも少なくない.最近,high risk IPMN非切除例の中長期予後の報告が散見され,IPMN由来浸潤癌への進行が少なく,疾患特異的生存率も比較的良好であることが示されている.しかし壁在結節≧10mm,主膵管径≧15mm,複数のHRS因子を有する症例は疾患特異的生存率が低くなるため,経過観察の際には注意が必要である.今後,疾患特異的死亡率と切除による死亡率を加味した,新たな予後予測モデルが開発されることを期待する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.37.142